A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 アドバタイザー

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

ケロッグ社がオンライン広告の投資効果はTV広告の2倍と査定

米食品大手ケロッグ社がオンライン広告費を増やし、TV広告予算を削減する決定をした。
同社のチーフ・マーケティング・オフィサー、Mark Baynes氏によると、過去18ヶ月間にわたりスペシャルKブランドのROI(Return on investment: 投資利益率)を計測した結果、オンライン広告がTV広告を2倍以上上回った。Baynes氏は、コスト削減策のひとつとして、来年のテレビ広告費を10〜20%削減するとしている。Baynes氏はまた、スペシャルKブランドのみならず、ケロッグ社の事業全体に同様の施策を適用していくとも述べている。効果測定をどのように行ったのかは明らかにされていない。

ケロッグは2007年に10億ドルという同社史上最大の広告予算を投じた。今年はさらに、3億ドル上乗せする計画だ。同社は、ダイエットを目指す人は、朝食に加えて昼食か夕食をスペシャルKに切り替えれば、2週間で洋服サイズを落とすことができるというキャンペーンを展開してきた。スペシャルKのウエブサイトでは、消費者のための減量プラン、YahooのEメール・グループに参加するためのサインアップ画面、トレーナーや栄養士による記事、Amazonの購入窓口へのリンクなどが用意されている。こうしたプロモーションの結果、朝食以外のシリアル食品の消費を拡大することができたとCEOのDavid Mackay氏は語っている。

ケロッグは景気後退期にもかかわらず広告費を拡大してきた。「過去5年、広告費を増大させているのは、当社がこのカテゴリーの成長を信じ注力していることの証だ。そして、広告のパワーは成長モデルに欠かすことのできないものだ」とBaynes氏は言う。しかし、だからこそ広告効果が問われる。Baynes氏が打ち出している広告投資効果改善策は以下のとおり。

■事業部や国単位ではなく、ブランド横断的にマーケティング効果の測定を行う。
■ブランド横断的に戦略的な連携を進めることにより、TVコマーシャル制作本数を減らす。
■ROIモデルと効果測定を活用する。
■広告テストの手順を含め、プロモーション方法の意思決定プロセスのための“ベスト・プラクティス“の標準化を進める。
■オンラインでの取り組みを強化する。
■コマーシャルの撮りだめ:一度に5本のコマーシャルを同時に制作する。
■広告エージェンシーの報酬モデルを新たにし、エージェンシーコストを削減する。
■購買ポイントにおいて消費者がどのような付加価値を求めているのかを見直す。

◆情報ソース(ソースはすべてAdvertising Age)
Food Companies Stay the Course
Kellogg: Digital ROI Surpasses That of TV
Kellogg Says ROI on Digital Trounces TV by 'Factor of 2'



プロクター・アンド・ギャンブル社の新マーケティング・オフィサー

全米最大の広告主であるProctor & Gambleのグローバル・マーケティング・オフィサー、Jim Stengel氏(53歳)が今年10月末をもって退任すると、1週間ほど前に伝えられた。

Stengel氏のポジションを引き継ぐのはP&G社で勤続26年のベテラン、Marc Pritchard氏(48歳)だ。Pritchard氏とはどんな人物なのか。Adweekが “All About P&G’s New Global Marketing Officer”と題する記事を掲載している。

この記事によるとPritchard氏は、1982年にインディアナ大学を卒業後、P&Gに入社し、財務部門を皮切りに宣伝、マーケティング、情報テクノロジーなど様々な部署でキャリアを積んだらしい。彼の業績でもっとも知られているのが、カラー・コスメティックの有力ブランド「カバーガール(Cover Girl)」のリブランディングだ。「カバーガール」は1989年にP&GがNoxel社から買収したブランドで、かなりのブランド力を持っていたにもかかわらず、Pritchard氏は化粧品部門に配属されて間もなく、リブランディングの必要性を訴え今日の製品ラインの土台を築いた。同氏は2000年、化粧品・フレグランス部門のゼネラル・マネジャー時代に、サプライ・チェーンの不要な部分を特定・排除し、後に消費者主導型のサプライ・ネットワークとして知られるようになるシステムの開発でも頭角を現した。このシステムはP&G社に莫大なコスト削減をもたらし、いまなお同社を支えるインフラのひとつとなっているという。

同じ記事では、Pritchard氏が癌に冒された同僚を足しげく見舞ったという逸話も紹介されている。非常にクリエイティブで、人を大事にし、頭の回転の早い理想のマネジメントというのが、P&Gの社員に取材したMediaweekの人物評だ。

一方、Advertising AgeはStengel氏の退任を、ここ数カ月進められてきたP&Gのトップ・マネジメント交代人事のひとつと位置付けている。同社では最近、チーフ・テクノロジー・オフィサー、人事部門のトップ、チーフ・デザイン・オフィサーなどの交代が発表されてきた。

Advertising Ageの記事によると、新ポジションへの就任が発表されるまで2年間にわたり、戦略、生産性、業績拡大の担当プレジデントを務めていたPritchard氏は、社の組織の合理化―特に米国外の各地域とグローバルな組織の間の重複解消に辣腕をふるった。その一環として、一部の機能が米国本社に戻され、それが本社役員クラスの序列変更にもつながったらしい。

それ以前、Pritchard氏は、P&Gの製品群の中でもっとも競争の厳しい化粧品とヘアカラー部門の責任者を務めていた。同社では責任者が退任した後の業績も評価につながるらしいが、この両部門の製品が最大のライバルであるL’Oreal社を制してシェアを拡大したことも、Pritchard氏が株を上げる一因になったとのことだ。Advertising Ageは、Pritchard氏と10月で退任するStengel氏や歴代のマーケティング責任者との違いを、キャリアのスタートがブランド・マネジメントではなく、財務部門に6年間、籍を置いていたことだと強調している。

◆情報ソース
All About P&G's New Global Marketing Officer (Mediaweek)
P&G Global Marketing Chief Stengel to Step Down (Advertising Age)



クライスラーが消費者によるオンラインパネルを組織

米クライスラーは消費者によるアドバイザリー・パネルを組織するために、4月に新しいサイトを立ち上げる。カスタマーの声を集め、マーケティングや製品開発に活かすためだ。

パネルの規模は2000人程度を予定しており、週に1〜2回、オンラインで意見を募る。パネルの参加資格は18歳以上で運転免許を持っていること。幅広く様々な人を集めるが、パネルを性別や所有する車のブランド、タイプなどによってグループ分けすることも計画している。参加者募集の広告は来月からスタートするが、同社のホームページではすでに、参加申し込みを受け付けている。

クライスラーは昨年、独ダイムラーから投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントに売却された。先月からは、“New Day.”をテーマに大がかりな宣伝を行っている。

◆情報ソース
Chrysler Ready to 'Listen' on New Site (Advertising Age)



スターバックスのネットご意見箱

再びスターバックスの話

スターバックスが “My Starbucks Idea”というソーシャル・ネットワークを立ち上げた。消費者がスターバックスのサービスや商品を改善するためのアイデアを投稿するサイトで、他の人の投稿にコメントしたり投票したりもできる。また、ここで書き込まれたアイデアを受けてスターバックスが何をしているかを報告するブログ “Ideas in Action” も立ちあがっている。これらスタバ的web 2.0に対する賛否両論をアドバタイジング・エイジが伝えている。

Starbucks Gossip”というブログを運営するJim Romenesko氏は「無料のWi-Fiが欲しいといった同じような声が繰り返し書き込まれているのを読む気にはなれない」

スターバックスの元マーケティング担当者John Moore氏は、大きな関心を持ってこの実験を見守っている。というのは、スターバックスはこれまでネットの書き込みにまったく耳を傾けてこなかったからだ。(スターバックスはこの見方を否定しているが。)

コンピュータ・メーカーのDellは、オンラインご意見箱“IdeaStorm”に寄せられた意見を、いくつかの製品開発に結び付けた。また、同社に対する厳しい批判を好意的な意見に転じさせることにも成功した。しかし、こうした成功例はコーヒー・チェーンにもあてはまるのか。雑誌『New York』は、スターバックスの試みを同社のアニュアル・ミーティングから生まれた「最大にして最悪のアイデア」と断じた。

Romenesko氏(前出)は、“My Starbucks Idea”は「プロバガンダ・サイト」に過ぎないという。Moore氏(前出)が運営するブログ “brandautopsy.com”には、ビジターから「スターバックスのサイトにはいまのところ何の面白みも感じない。同じアイデアを繰り返すだけの、ミッションレビューと顧客の意見の貯蔵庫」との書き込みがあった。

一方、TNS Media Intelligence/Cymfony社の戦略・マーケティング執行責任者Jim Nail氏は、「スターバックスのブランドを自然な形で拡大した良いアイデアだ」と評価し、「正しい運営をすれば、スターバックスを誹謗する人にもコミュニケーションのチャネルを開くことができ、意見に耳を傾け返答することで彼らの発言の変えていくこともできるはずだ」と語っている。

以上、かなり省略して紹介したが、前の記事に続いてアドバタイジング・エイジはスターバックスに対して批判的な論調が色濃いように思える。他のニュース・サイトやブログを覗いてみると、それこそ賛否両論なのだが、まちがいないのはスターバックスがマクドナルドの新コーヒー(プレミアムロースト)発売などで苦戦を強いられているということ。(コーヒー専門店はどこも苦戦を強いられていて、その代表格としてスターバックスが名指しされているという節もある。)日本ではどうなのだろうか。私の周りには根強いスタバファンが多いのだが。

◆情報ソース
Starbucks Gets Web 2.0 Religion, but Can It Convert Nonbelievers? (Advertising Age)

追記
Ad Weekは同じニュースを、「ブログ界で拍手をもって迎えられた」と好意的に伝え、「(スターバックスの)ブランドストーリーを皆で作り上げていけるすばらしい手段」「スターバックスがこのサイトをどのように運用していくのか楽しみ。Dellを手本にして、消費者の意見を取り入れ企業文化を進化させていってほしい」「たぶん良いアイデアも提案されるだろうし、きっとカスタマーはブランド作りに携わっていると感じることができるだろうけど、つまるところスターバックスが歓迎するのはウォール・ストリートのアナリストの提案では?」といった、ブログ上のコメントを紹介している。

◆情報ソース
Starbucks Launches Online Suggestion Box (Ad Week)





ゼネラルモーターズが宣伝予算をデジタルに

予算規模で全米第3位の大広告主ゼネラルモーターズ(GM)が、年間30億ドルの広告予算の半分を今後3年以内にデジタル媒体やone to oneマーケティングにシフトするらしい。TNS Media Intelligenceによると同社は昨年、1億9700万ドルをオンライン広告に投じたが、それを一気に拡大してゲーム内広告、検索、携帯、インタラクティヴメディアなどでマーケティング活動を行うとアドバタイジング・エイジが伝えている。

GMはまた、各地のディーラーにも、TVスポットなど既存媒体ではなくデジタル媒体を主体にしていくよう呼びかけていくのではないかとみられている。

米国では、トヨタ自動車の米国法人Toyota Motor Salesが、若年層向けブランドScionの販促活動をインターネットで行い成功したほか、Hyundai Motor Americaも今年のオンライン広告予算を倍増させるなど、自動車業界全体のデジタルシフトが加速している。

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 (クリックすると拡大表示します)

上の統計(Source: TMS Media Intelligence)を見るとわかるように、なかでもテレビと新聞への出稿がここ3年程の間に激減している。

◆情報ソース
GM Roars Forward Into Digital Ad Channels(Advertising Age)
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