A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 調査・データ

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

大統領選情報ではデジタル・メディアに軍配?

米独立系大手PRエージェンシーのWaggener Edstrom Worldwideが実施した調査によると、18〜35歳のいわゆるジェネレーションXとミレニアルズと呼ばれる世代は、今年の大統領選挙に関する情報の入手先として、64%がデジタル・メディアを選んでいる。また、圧倒的多数の76%が、選挙に関する情報源としては、旧来型メディアよりもデジタル・メディアの方がアクセスと情報共有が容易であるため好ましいと回答した。彼らは、旧来型のニュースソースは情報を操作し、ニュースを「作る」から好ましくないと感じている。

この調査の標本数は800で、400は電話、400はオンラインで回答を得た。調査期間は6月9〜12日。Waggener Edstrom Worldwideは回答者の67%が26〜35歳のジェネレーションXで、残りは18〜21歳のミレニアルズ世代だと説明している。(この2つの世代の定義はまちまちで、ベビーブーム後のジェネレーションXにもっと幅広い年齢層を含める人もいるし、ミレニアルズを2000年代に成人した(する)世代とするなら、いま18〜27歳ということになる。)

6月20日のエントリーで、旧来型メディアに掲載された広告の方が印象が良いとのヤンケロビッチの調査結果を紹介した。上の調査は大統領選挙のニュースソースに関するものであるから比較にならないしヤンケロビッチの調査と矛盾しないが、ミレニアルズ以降の世代は広告の受け止め方も違うのではないかという気がしている。彼らは物心ついたころからテレビゲームやコンピュータに慣れ親しんできており、その結果、デジタルの世界に対するファミリアリティが高く、マルチタスキング(テレビを見ながら携帯メールで友人と感想を述べ合うなど同時に複数の作業をする)が当たり前になっている。情報を入手する速度も量も、上の世代よりも格段に勝るだろう。ミレニアム以降の世代への取り組みは、旧来型メディアにとって大きな課題になる。

余談になるが、このWaggener Edstrom Worldwideの調査のリリースページには、電話で回答した400名のうち、およそ3分の1は固定電話を持っておらず携帯電話を使ったとの注意書きがなされている。

さらに蛇足ながら、この調査の結果では、37%が民主党、27%が共和党の支持者で、どちらでもない浮遊層が23%だった。また、回答者が見聞きした範囲でキャンペーンにインターネットをうまく使ったのはどちらかを聞いたところ、民主党が56%と共和党(13%)に圧勝した。「もし今日、大統領選挙があったらどちらに投票するか」との質問では、バラク・オバマと答えた人が49%、ジョン・マケインと答えた人は29%だった。

◆情報ソース
The Web Is Where It's At for Youth Vote (Advertising Age)
Waggener Edstrom Worldwide agency news
広告の印象や口コミ効果では旧来型メディアの方が優れている―ヤンケロビッチ調査 (A BUG IN YOUR EAR)



広告の印象や口コミ効果では旧来型メディアの方が優れている―ヤンケロビッチ調査

テレビ、雑誌、新聞などの旧来型メディアに掲載された広告の方が、デジタルメディアに掲載された広告よりも良い印象を生み出すとの調査結果が発表された。

「When Advertising Works」と題されたこの調査は今年4〜5月、米ヤンケロビッチ社(Yankelovich)がシークエント・パートナーズ社(Sequent Partners)と共同で行ったもので、ボール・ステイト大学(インディアナ州)のメディア・デザイン研究所が調査協力した。

テレビ、屋外広告、雑誌、新聞、ラジオ、映画館(劇場広告)、インストアなどの旧来型メディアと、Eメール、インターネット・バナー広告、SNS、ゲーム、動画共有型サイト(YouTubeなど)などのデジタルメディアの計16メディアによる広告について調査が行われた。

その結果、旧来型メディアで見た広告について良い(ポジティブな)印象を受けたと答えた人が回答者の56%を占めたのに対し、デジタルメディアで見た広告について同様に答えた人は31%だった。逆に、悪い(ネガティブな)印象を受けたと答えた人の割合は、旧来型メディアの13%に対して、デジタルメディアでは21%だった。また、良い印象も悪い印象ももたなかったと答えた人は、旧来型メディアでは32%、デジタルメディアの場合は48%だった。

この結果について、ヤンケロビッチの調査責任者は、人々は旧来型メディアを見ているときの方が娯楽を受け入れる姿勢が顕著でリラックスしているから、広告についてもポジティブな印象を持ちやすい。デジタルメディアは問題解決に適しており、それがデジタルメディアを使う主な理由にもなっている。情報を追い求めたり何かを比較したりしているときはいらいらした気分になりがちだが、テレビや雑誌を見ているときはそんなことはなく、広告に注意を向けることにも抵抗がないのではないか、と解説している。

同調査はまた、これまでウエブについて通説とされてきたことを覆すような結果を提示している。旧来型メディア―特にテレビCMや劇場のスポット広告―の方が、デジタルメディアよりも、口コミを誘発しやすいというのだ。ただしそれは、「見た人がその広告を気に入った場合に限る」と、上記の調査責任者は述べている。また、「口コミ効果を実現するためには、旧来型メディアとニューメディアをうまく組み合わせて使う必要がある」とのこと。

この調査結果を紹介しているニューヨーク・タイムズの記事には、調査方法が記されていないが、ヤンケロビッチのサイトで見つけた調査概要によると、サンプルは16歳以上の男女1500名。45分間のインターネット・インタビューを通じて、様々なメディアを通じての広告接触例を5000以上収集し、分析を行ったとのこと。

◆情報ソース
Traditional Media Not Dead Yet for Marketing, Study Says (New York Times)
ヤンケロビッチ社サイト:When Advertising Works



ビジネスエリート対象のメディア利用状況調査

米調査会社Ipsos MediaがC-suiteおよび意思決定の立場にあるエグゼクティヴを対象に昨年実施したメディア利用状況調査の結果が、一部公開された。C-suiteとは、CEO(chief executive officer)、COO(chief operating officer)、CFO(chief financial officer)などのチーフ・オフィサー、つまり企業あるいは主要部門の最高責任者を指す言葉。

この調査はIpsos Mediaが毎年行っているもので、原則として従業員が250人以上の企業の重役が対象。(250人未満の企業の場合、年間売上が4,000万ドル以上となる見込みであることが資格要件となる。)昨年の調査は、サンプル数が2,390。回答者の87%は男性で、平均個人年収は40万ドル以上、不動産を除く資産総額は170万ドル以上とのこと。その結果を抜粋する。

Ipsos Mediaの分析によると、過去2年間に、プリント・メディアのウエブサイトを利用するビジネス・エグゼクティヴたちは大幅に増えている。しかし、それがテレビなどの他のメディアとの接触時間を減らしているわけではない。
2006年2007年
ウエブサイトは出版物が提供するものの中で重要な要素だ50%73%
ビジネスに関する情報をインターネットで閲読することに、以前よりも多くの時間を費やすようになった65%68%
自分のテレビの視聴状況に、インターネットはほとんど影響していない57%64%


チーフ・オフィサー・クラスのエグゼクティヴに限定すると、ほぼ半数(47%)が、インターネットはビジネス系出版物の読書状況に影響していないと答えている。ということは、半数以上はおそらく、インターネットから得られる情報で事足りることがあるので、以前ほどはビジネス誌・書籍を読まなくなったということだろう。とはいっても、下のグラフに示されているように、彼らがビジネスに関して何かを参考にしたいとき、あてにするメディアの筆頭はビジネス誌で、ほぼ同率でインターネットが並んでいる(青いバー)。一方、ビジネス・ニュースの主要ソースとしては、新聞(全国紙)が筆頭で、次いでインターネット、ケーブルTV、ビジネス誌となっている。
自分のビジネス系出版物の読書状況に、インターネットはほとんど影響していない47%
ビジネスに関する情報をインターネットで閲読することに、以前よりも多くの時間を費やすようになった68%
出版社系のウエブサイトを毎日チェックしている38%

ipsos-media-graph.jpg

その他に興味深いデータとしては、
■Cレベル(チーフ・オフィサー・クラス)のうち、HDTVの所有率は60%、iPodの所有率は40%。
■同じくCレベルのうち、36%はブラックベリー(Blackberry)を、35%は衛星ラジオを利用している。BlackberryとはカナダのIRM社が開発・販売している、通信機能を内蔵した携帯情報端末。衛星ラジオは、国土の広い米国のどこにいても同じ局の放送を聴くことができるデジタル放送サービス。レストランやホテルなどのBGMの、主要プロバイダーにもなっている。
■Cレベルのうち72%が、最新の技術を捕捉することはビジネスの成功に欠かせないと答えている。
■Cレベルのうちブログを読んでいる人は30%。自らブログを書いている人はわずか4%。


Ipsos Mediaでは、調査対象者を割り出すために以下のステップを踏んでいるという。
■大手信用調査会社ダン&ブラッドストリート(Dun&Bradstreet)のリストから、サンプルを抽出。
■各企業に電話をかけ、回答を依頼する上級管理職の人々を特定。
■特定した上級管理職に調査への協力を依頼し、郵送調査かオンライン調査かを選んでもらう。
■回収した回答にウエイト付けを行い、全米の母集団の構成比を割り出す。

不思議なのは、多忙で裕福なエグゼクティヴたちが、なぜ調査に協力するかだ。日本でもお金持ちを対象とした調査は、よほどのメリットがないと答えてくれないから苦労する。忙しさを極めるトップ・エグゼクティヴならなおさらだ。よほど社会的に意義のある調査なのか、対象者リストに入ることがステータスなのか。あるいは、回答者には調査結果の分析データが無料(または格安で)提供されるとか―それはないだろう。
ご存知の方がいたら教えていただきたい。

◆情報ソース
US Business Elite Embracing Online Media (Marketing Charts)


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