A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 雑誌

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

複数の出版社のデジタル雑誌を固定料金で読み放題のサービス

大手雑誌出版社コンデナスト(Condé Nast)、ハースト(Hearst)、メレディス(Meredith)、ニューズ(News Corp)およびタイム(Time Inc.)によるジョイント・ベンチャー、ネクスト・イシュー・メディア(Next Issue Media)が、タブレット端末向けデジタル雑誌を月額固定料金で好きなだけ読めるサービスを始める。月刊誌と隔週刊誌が読み放題の基本版が月9.99ドル、これに週刊誌を加えたプレミアム版が14.99ドルで、同社の専用アプリを使って読む。当面はサムソンのGalaxy、モトローラのXoomなどのアンドロイド端末だけのサービスで、iPad版についてはアップルの承認待ちとのこと。

これで月々800円程度で各社が発行するニューヨーカー(The New Yorker)、エスクァイア(Esquire)、エル(ELLE)、ベター・ホームズ・アンド・ガーデンズ(Better Homes and Gardens)、フォーチュン(Fortune)、ピープル(People)等の雑誌を制限なしで読めるようになるが、多くの月刊誌はタブレット版を1号あたり1.99ドルで定期購読できるので、月に5誌以上の雑誌を読む人でないと得することにならない。

ただし、毎月好きな雑誌を選んで読めるというメリットはある上、雑誌ごとに異なるアプリをダウンロードする煩わしさもない。この点、読者にとっては朗報だろう。伸び悩んでいると言われているタブレット版雑誌の販売部数も、これがきっかけで増えるかもしれない。

ネクスト・イシュー・メディアのサービスで読むことのできる32誌は、合計すると総読者数が3億5千万人、年間広告売上は80億ドルに達するという。同社では上記5社以外の出版社の参加も促して、これを100誌程度の規模に拡大する意向だ。購読料売上は読まれた雑誌に応じて参加出版社間で分配するようだ。

それだけではない。ネクスト・イシュー・メディアは広告もワンストップで複数の雑誌に掲載できるようにしようとしているらしい。しかし、広告料金体系や掲載ポリシーの異なる出版社が、窓口を一本化するのは容易ではないはずだ。

例えば、デジタル雑誌の場合、広告面から直接、特定のウエブページに読者を誘導できるのは広告主にとって魅力だろうが、このホットリンク(直リンク)の料金設定ひとつとっても出版社によってばらばらだ。コンデナストの雑誌では、ひとつの広告からひとつのURLにリンクをはると5,000ドルの追加料金がかかる。タイムはURLがひとつなら無料。ハーストはいくつリンクをはっても料金はかからない。

また、コンデナストは先月、タブレット端末向け雑誌の広告主のために、閲読状況に関する統計の提供を開始した。この統計をもとにした広告効果測定も可能だろうから、広告主は他社にも同様のデータの提供を求めるはずだ。ネクスト・イシュー・メディアが異なる出版社の雑誌に広告を掲載する窓口になるのなら、このような広告主の要望も同時に受け付けなくてはならないことになる。

ちなみに、コンデナストが提供するのは以下のようなデータだ。
■有料定期購読者と単号購読者の数
■当該号を実際に開いて読んだ読者の数(紙版定期購読の特典としてデジタル版を入手した読者も含む)
■読者が当該号を開いた回数
■読者が閲読に費やした時間

さらに、プレミアム広告、あるいは少なくともホットリンクを購入した広告主には、以下のデータも提供する予定だという。
■当該広告を見た読者の数
■広告が表示された回数のトータル
■読者が広告に接触した時間の平均
■上記すべての統計に関して、当該号全体の平均値との比較


※ネクスト・イシュー・メディア関連記事
電子書籍化―日米の動き
雑誌社とiPadの距離

◆情報ソース
Magazines Introduce a Netflix for Tablet Editions (Advertising Age)
Five magazine publishers jointly release tablet app (Los Angeles Times)
What a Hotlink Costs Advertisers in Magazine iPad Editions (Advertising Age)
Two Years Into Tablet Editions, Conde Nast Begins Regular Readership Reports (Advertising Age)
スポンサーサイト

富裕層向け雑誌が次々と創(復)刊

米国で、富裕層をターゲットとした雑誌の創刊や復刊が相次いでいる。

ブルームバーグは今年2月、ライフスタイル誌『ブルームバーグ・パスーツ(Bloomberg Pursuits)』を創刊した。同社がすでに発行しているビジネス誌『ブルームバーグ・マーケッツ』(Bloomberg Markets)』と同様、金融情報サービス「ブルームバーグ・プロフェッショナル(Bloomberg Professional)」の契約者、約31万人に毎月無料で配布される。読者となる端末契約者の平均世帯年収は452,000ドル(1ドル=82円で約3,700万円)で、90%が男性とのこと。創刊号は編集面46ページに対して、エルメス、シャネル、ゼニア、ロールスロイスなどの広告30ページが掲載された。

Time Style & Design

先週には、ニュース誌『タイム(TIME)』の別冊『タイム・スタイル&デザイン』(Time Style & Design)』が復活した。同誌は『タイム』の定期購読者向けファッション&ライフスタイル別冊として発行されていたが、2009年9月に休刊した。今後は年2回の発行で、『タイム』定期購読者の中でも「特に裕福であると判断された」50万人に、本誌とともに配布される。

経済誌『フォーブズ(Forbes)』の別冊『フォーブズライフ(ForbesLife)』は、創刊から22年を数える高級ライフスタイル誌だが、このたび誌面を一新し、『フォーブズ』の定期購読者に無料配布されるばかりでなく、大都市圏のニューススタンドでも販売されることになった(定価は6.99ドル)。同時にiPad、Nook、およびKindle向けのデジタル版も発行される。

そしてもう一誌、9月に創刊を予定しているのが『ドゥジュール(Du Jour)』という雑誌だ。仕掛け人は、富裕層向け雑誌専門の出版社ニッチ・メディア(Niche Media Holdings)の創設者ジェイソン・ビン氏(Jason Binn)。ビン氏は2010年に同社のCEOの職を退いた後、招待制のファッション通販サイトを運営するギルト・グループ(Gilt Groupe)の創業者・CEOケヴィン・ライアン氏(Kevin Ryan)のチーフ・アドバイザーとなったが、『ドゥジュール』はビン氏とギルト・グループの他、空港などでニューススタンドを運営するハドソン・ニュース(Hudson News)と、同じハドソングループで免税店を運営するDufryとのパートナーシップにより年4回、発行される。ターゲットとなるのはギルト・グループのサイトに登録した会員(全米300万人と発表されている)の中から、年収25万ドル以上、持ち家の価値150万ドル以上等の条件でふるいにかけられた235,000人(この人たちには無料で送付される)である。加えて、15,000部はニューススタンドで販売されるほか、月刊のデジタルマガジン、週刊のメールニュースと、同誌は創刊からマルチプラットフォーム展開を計画している。

経済の先行きが不透明な中、ここにきて各社が富裕層向け雑誌に力を入れ始めたのはなぜなのか。米国ではこの数年の間に、中間所得層の多くが低所得層に移行し、高所得層との二極化が顕著になってきている。その結果企業は、低所得層に安価な品を数多く買ってもらうか、高所得層に超高級品を売り込むしかなくなっているのだという。それを反映してか、例えばコンデナスト(Condé Nast)の高級ファッション誌『W』は今年、広告が前年同期に比べて63ページ、売上にして20パーセント増えた。また、アメリカン・エクスプレスの会員誌『デパーチャーズ(Departures)』も、1-3月期の広告がページ数で10パーセント、売上にして22パーセント増加したという。

既存の高級誌に加えて、上に紹介した雑誌のうち生き残れるのはどれか。それは、本当の富裕層にまちがいなく読まれている雑誌であることを、いかに裏付けられるかにかかっている。

◆情報ソース
Bloomberg to Launch Luxury Lifestyle Magazine (WWD)
Time Style & Design Returns (WWD)
Forbes Relaunches Luxury Lifestyle Title 'ForbesLife' (Adweek)
He’s Binn Busy! With Du Jour, Jason Binn Homes in on Familiar Niche, Digitally (New York Observer)
Jason Binn Launching Du Jour Magazine (WWD)

『コスモポリタン』誌デジタル版の定期購読者数が10万人を突破

米ハースト・マガジン(Hearst Magazine)発行の月刊女性誌『コスモポリタン』(Cosmopolitan)の有料予約購読者数が10万人に到達したと、『アドバタイジング・エイジ』(Advertising Age)が伝えている。

Cosmopolitan cover

同誌は2005年に、デジタル書店のZinioでデジタル版の販売を開始したが、部数(とデジタル版でもいうのだろうか?)が急伸したのはiPad、Nook、Kindle Fireなどのタブレット端末が市場に出回り始めてからだ。

ハーストは、デジタル版の販売戦略で他社と一線を画している。コンデナスト(Condé Nast)の『ワイアード』(Wired)やタイム(Time Inc.)の『ピープル』(People)の場合、プリント版の定期購読者はデジタル版を無料で読むことができる。タイムの雑誌はiPad版だけを購読することすらできない。一方、ハーストはプリント版とデジタル版の販売を切り離しており、一方を他方の特典とするようなことはしていない。それどころか、『コスモポリタン』の年間購読料は、プリント版が15ドル(1ドル=82円として1,230円!)であるのに対し、デジタル版はiPadとZinioが19.99ドル(約1,640円)と、こちらの方が高い。

とはいっても、単号の価格はデジタル版が1.99ドル、プリント版(店頭価格)が3.99ドルで、『コスモポリタン』は米国の雑誌には珍しく店頭販売部数の比率が高く、総販売部数(300万部)のほぼ半分を占めているから、販売収入に占める割合はプリント版の方が格段に大きい。

それでも、デジタル版の年間購読者が10万に達したというのは、大きな節目だろう。同誌の編集部では、先に紹介した『アトランティック』と同様、プリント版とデジタル版のスタッフの融合が急ピッチで進んでいるそうだ。

◆情報ソース
Cosmopolitan Says It Has 100,000 Paid Digital Subscriptions (Advertising Age)

雑誌なのか、カタログなのか

ハースト・マガジン(Hearst Magazines)は、Amazonのタブレット端末「キンドル・ファイア」(Kindle Fire)用に発行する雑誌の編集ページからAmazonのウエブサイトにリンクを張り、掲載商品を購入できるようにする。読者が商品を購入するとハーストは売上に応じた報酬を得ることできるようだが、その割合は非公表となっている。

同社はウエブサイト上ではすでに、同様の試みを行っている。例えば、インテリア雑誌『グッド・ハウスキーピング』のウエブサイト、Goodhousekeeping.comでは、製品レビューのページに掲載された品物をAmazonで購入できるようにしている。

しかし、このニュースを紹介する記事の冒頭で、Adweekは「雑誌なのか、カタログなのか」と疑問を呈している。広告主の製品を記事上で紹介し、さらにそれが即座に購入できるとなると、記事がヤラセ(何らかの報酬が伴っている)ではないかと、読者に疑われる危険性があるというのだ。

米国の雑誌では、編集と広告の間に一線を画すために、日本よりも厳しいルールが適用されてきた。例えば、アドバトリアル(Advertorial: 記事形式の広告)のページには、広告である旨を明示しなくてはならず、編集ページと同じレイアウトや活字は採用できないことになっている。日本でいうタイアップのようなページは存在しない。

一方で、誌面で紹介されている製品を1クリックで購入できると便利だと考えている読者がいることも確かなようだ。フォレスター・リサーチ社(Forrester Research)の調べによると、タブレット端末の所有者のうち60%は、端末をオンライン・ショッピングに使ったことがある。また、GfK MRIの調べによると、タブレット端末所有者の70%は、デジタル・マガジンに掲載されている広告をクリックするだけで買い物ができると良いと思っているとのこと。

ハースト・マガジンズのゼネラル・マネジャー、ジョン・ラフリン氏(John Laughlin)はAdweekの取材に対して、購入対象製品は編集部が独自に紹介する製品を選んだ後に追加するから編集への介入にはならない、と答えているが、実際にはそう簡単ではないだろう。

多くの雑誌が販売と広告の低迷に苦しむ中、出版社は新たな収入源を開拓する必要に迫られている。通販事業は確かに雑誌の資源を活かしやすい。しかし、そこに足を踏み入れれば、今度は通販事業者との競争にさらされることになる。そのときに「カタログ」との違いを保ち続けることができるだろうか。

◆情報ソース
Hearst to Link Digital Editions With Amazon (Adweek)

雑誌広告で広告商品の売上増を保証

米国の雑誌業界で、デジタル広告に対抗して掲載広告の成果保証に踏み込む動きがあることは、昨年5月のエントリーで紹介したが、今度は大手出版社のメレディス(Meredith Corporation)が広告対象商品の売上増を保証する新プログラムを発表した。

メレディス社が7月25日に発表したこの新プログラムはMeredith Engagement Dividendと名付けられた。同社の雑誌で広告された商品の、一定の売上増を保証し、目的が達成されなかった場合は保証額に達するまで無料で広告掲載を続けるのだという。「売上増」の測定には、ニールセン(Nielsen)が全米の消費者パネル(National Consumer Panel)の消費動向をデータベース化した「Homescan」を使用する。パネルをメレディス社の雑誌を購読している消費者のグループと購読していない消費者のグループとに分け、これら2グループの当該商品購入額を比較して、購読者グループの方が一定額上回れば保証達成ということになる。

メレディス社ではおよそ1年前、ニールセンの提案を受け「Homescan」のデータを52週分にわたり検討した結果、美容製品、家庭用品、市販薬、食品の分野で、「購読者グループ」の購入額がそうでないグループを平均10%上回った。加えて、「Homescan」はすでにYahooやConsumer Directのデジタル広告でも活用されており、広告主企業に認知されていたため、メレディス社はこのデータベースを使った新プログラムの導入を決めた。

同社はこのプログラムを2012年から開始する計画だが、プログラムを利用できる広告主の数の上限を10社に限定しており、参加条件を①メレディス社の雑誌への年間広告投資額が500万ドル以上で、②雑誌広告予算の中でメレディス社のシェアがもっとも大きく、③2012年のメレディス社の雑誌への出稿額が2011年を上回ること、と定めている。また、成果保証の細かな条件は広告主ごとに協議して決められるとのこと。

メレディス社はこのプログラムを、来年以降の広告売上増とシェア拡大のテコにしようとしているのだろうが、同時に、ROIを追求する広告主の要望にいち早く応えることで、旧来の媒体社から脱皮し、広告主企業のマーケティング・パートナーとしての地位を強固にしようという戦略の一環と考えられる。

◆情報ソース
Meredith Guarantees Top Advertisers Sales Gains (Advertising Age)
Meredith Teams With Nielsen To Guarantee Sales To Magazine Advertisers (MediaPost)
Mag Bag: How Does Meredith's ROI Guarantee Work? (MediaPost)
次のページ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。