A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 テレビ

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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クロス・プラットフォーム化でニールセンが岐路に?

テレビCMの視聴形態は、テレビのモニターからDVR、インターネット、携帯電話へと多様化が加速的に進んでいる。そうした状況の中、視聴率調査で揺るぎない地位を守ってきたニールセン・メディア・リサーチ(Nielsen Media Research)が危機に立たされているようだ。

ニールセンの主要取引先である媒体社、バイイング・エージェンシーおよび広告主14社が、「革新的な計測方法を求める企業連合」(The Coalition for Innovative Media Measurement: CIMM)を結成したとアドバタイジング・エイジ(Advertising Age)が伝えている。その目的は、視聴状況別の視聴率に加えクロス・プラットフォームでの広告効果測定方法の提案を、ニールセンを含む複数の企業に求めることにあるという。仮にこの提案でニールセンが敗れた場合、同社は600万ドルのビジネスを失うことになるらしいが、CIMMの真意は、競争原理を導入してなんとかニールセンに新たな広告効果測定法を開発させようということのようだ。

CIMMのメンバーは、Time Warner、 ESPN、 Disney Media Networks、 News Corp.、 InterpublicグループのMediabrands、 Viacom、 Starcom MediaVest Group Worldwide、 Procter & Gamble、 Unilever、 AT&T、 WPPグループのGroup M、 CBS Corp.、 Omnicom Media Group、 Discovery Communications、そして NBC Universal。各社はこの過酷な要求をただ突き付けるだけではなく、一社あたり10万ドル、計140万ドルを新たな計測方法の開発費用として投資する。しかし、これはとても十分とは言い難い金額だ。例えば、ニールセンは調査会社のアービトロン(Arbitron)と共同で、「プロジェクト・アポロ」(Project Apollo)というプログラムの開発に取り組んだ。これは、およそ3万世帯に端末を配布し、消費者が見聞きしたテレビ、ラジオや接触した新聞、雑誌、DM、屋外広告などをすべて記録。同時に各人の購買行動も調べて広告効果を測定するという壮大な計画だった。ニールセンはアービトロンとともに、この計画に1億ドル以上の投資を行ったが、結局、データを購入する企業が十分に集まらず計画は頓挫した。

CIMMの顔触れにも問題がある。メンバーにはポータル・サイトの運営企業、ケーブル事業者、インターネット動画の配信事業者、移動体通信事業者などは含まれておらず、テレビ局中心、クロス・プラットフォームからは程遠い布陣と言わざるを得ないからだ。インターネット広告業界団体のIAB(Interactive Advertising Bureau)はCIMMに共同作業を求めているらしいが、これだけ多様なプラットフォームの運営企業が集まると、測定方法や結果の評価をめぐって必ず衝突が起こるはずだ。現にIABは、ここのプラットフォームの計測方法に関して合意できるまではクロス・プラットフォームに踏み込むつもりはない、と述べている。

しかし、広告主がクロス・プラットフォームによる広告効果測定を強く求めているのは確かだから、いずれニールセン(およびその他の調査会社)は、その要望に応えざるを得ないだろう。日本の場合、ビデオリサーチ社の独壇場だがどうなのだろう。テレビ局の疲弊が甚だしくてそれどころではないと言われるだろうか。

◆情報ソース
Nielsen on Notice: Industry Demands a Meatier Metric (Advertising Age)



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アカデミー賞、グラミー賞番組の凋落

先日のスーパー・ボールの中継で、NBCはCM枠を売りきり2億600万ドルの記録的売上を達成したとのこと。今月はさらに、アカデミー賞とグラミー賞の授賞式という、高視聴率の約束された番組が放送されるが、この2つの授賞式の視聴率が年々落ち続けテレビ界の悩みの種になっていると、『アドバタイジング・エイジ』が伝えている。

昨年の第80回アカデミー賞はABCテレビで中継されたが、その視聴率は過去39年間で最低で、視聴者数(live plus same day: 中継時および同日中にDVRで視聴)は推計3,200万人だった。そのためABCは、今年の授賞式の30秒スポットCM放映料を170万ドルから140万ドルに値下げする。また、今回初めて、条件付きながら映画作品のCMも認められるという。グラミー賞も同様に視聴者は減り続けている。第50回という記念すべき授賞式となった昨年は、CBSで3時間40分の長時間にわたり中継されたが、平均視聴者数は1,720万と振るわなかった。

実は、オスカーとグラミーに限らず、他の賞もテレビ中継の視聴率は史上最低レベルに落ち込んでいる。例えば、昨年のプライムタイム・エミー賞の視聴者数は、2005年より33%も少ない1,230万人だった。デイタイム・エミー賞も(昼間番組が対象の賞であるにもかかわらず夜に放送されたといっても)、視聴者数540万、18歳~49歳の視聴率が1.2%という惨憺たる結果だった。ゴールデン・グローブ賞はアカデミー賞の前哨戦として注目されるが、今年の視聴率はケーブル放送からネットワーク放送に移行した1996年以来の低さだった。

なぜ観る人が減っているのか。番組の視聴形態が細分化している、授賞式が長すぎる、候補作品がぱっとしない、小さなカテゴリーの放送に時間をかけすぎる、などといった理由のほかに、『アドバタイジング・エイジ』は次のように分析している。

視聴者の高齢化=若者離れ
多くの賞は、ミス・ユニバースのような美人コンテストと同様、昔からテレビで放送されており、視聴者、特に若者のテイストの変化に対応できずにいる。その証拠に、例えば昨年のプライムタイム・エミー賞視聴者の中間年齢は52.1歳、デイタイム・エミー賞は58.4歳と高く、しかも年々高齢化している。「アメリカン・アイドル」のようなリアルなコンテスト番組が珍しくなくなったいま、誰が賞を獲るかという「筋書きのないドラマ」に、若者は昔ほど感動しなくなった。

露出過多のセレブリティ
雑誌、エンターテインメント・ニュース、ケーブル・ネットワーク、インターネットなどで、セレブリティを目にする機会は過剰なほど増えたため、わざわざテレビの授賞式を見る価値がなくなった。

ハイライトだけ見られればいい
多くの視聴者の関心は結局、誰が受賞し、その時何を言い、何を着ていたかだろう。そうしたハイライトシーンはいまや、テレビに長時間かじりついていなくても、インターネットで見たい時に即座に見ることができる。

とはいっても、西部劇がプライムタイムから姿を消したようには、オスカーなどのライブ中継はなくならないだろうと『アドバタイジング・エイジ』は記している。視聴率が落ちているとは言っても他の番組よりは高いわけだし、中継に価値があるので放送時間を移動することも考えにくいからだ。ただ、もはや「ブロックバスター」と呼べるほどの存在でなくなりつつあるのはまちがいない。

◆情報ソース
Award Shows: Special, but Not All That Special (Advertising Age)



プロダクト・プレースメントに規制の動き

米連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)で、消費者保護の観点から映画やドラマなどに商品を登場させる広告手法「プロダクト・プレースメント」に関する規則を見直す動きがある。

TiVoやDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)が普及し、テレビCMをスキップして番組を見る消費者が増える中で、番組の中に広告を「紛れ込ませる」手法が注目を集めてきた。Nielsenによると、11のテレビ・ネットワークで放送されたプライムタイム番組では、今年第1四半期にプロダクト・プレースメントが6%増加し、テレビ放送全体では39%増えたという。また、市場調査会社PQ Mediaによると、いわゆる「ブランデッド・エンターテインメント」に投下された広告費用は、2007年に前年比14.7%増の223億ドルに達し、今年はさらに13.9%の増加が見込まれるとのこと。

この増加傾向にFCCは懸念を表明し、視聴者がプロダクト・プレースメントであることや広告主名を認識できるよう、規制の強化を検討しているとのこと。また、現在のFCCのルールではケーブル放送は対象になっていないため、規制の対象を広げることも検討されている。

米脚本家組合(Writers Guild of America: WGA)もFCCに対し、放送事業者は番組内に組み込まれた製品を明示し自分が見ているものが広告であることを視聴者がわかるようにすべきだと訴え、テレビスクリーンの下部に製品名と広告主名をスーパーで流す方法を提案した。

アドバタイジング・エイジは、こうした規制は番組をぶちこわしにするもので、消費者の保護にはならないと反対する広告主や広告会社の意見も紹介している。

◆情報ソース
Game-Changer: FCC Considers Product Placement Disclosures
(MediaPost)
FCC to Weigh Requiring Disclosures for Product Placement (Advertising Age)



視聴者数から視聴形態へ

電通のクリエイティブ・ディレクターで近著「明日の広告」がベストセラーになっている佐藤尚之さんが、ご自身のブログの4月1日2日のエントリーで書かれているように、テレビ番組の視聴率という物差しはもはや実情にそぐわないものになっているのかもしれない。米国でも、視聴形態の違いや視聴者の広告に対する反応などの情報を求める企業が増えてきていると、『アドバタイジング・エイジ』が報じている。

ABC放送の推計によると、同局のソープオペラ(昼ドラマ)を見る人の数は、およそ5700万人に及ぶという。しかし、たとえば人気番組 “General Hospital” は、午後3時の放送後、ケーブル局で夜の10時から再放送されるが、この番組を本来の放送時間にお茶の間で見る人と、勤め人で午後10時にケーブル局で見る人とでは全く異なるはずだ(DVRに録画して見る人もいるだろう)。視聴者は、視聴形態によっていくつもの小グループに分かれているのだ。

この小グループが、広告主にとって欲求不満の種となっている。5700万という数はマーケターの食欲を刺激するには十分だが、広告主はもっと掘り下げた、視聴形態による視聴者の違いがわかるようなデータを欲している。こうした要請を受けて、ニールセンは今年第2四半期から、セット・トップ・ボックス(STB)から得られる視聴状況データをクライアントに提供する。メディア購入代理店のスターコム(Starcom)は、視聴率調査の対象になっていないデジタル・ケーブル・チャネルとSTBを使った視聴者調査を行うための交渉を開始すると発表した。調査会社TNSメディア・リサーチもDirecTVと契約する10万世帯を対象に視聴状況を調査する新サービスを発表した。TiVoでもSTBを使った調査が可能になる。

ニールセンのチーフ・リサーチ・オフィサーのPaul Donato氏は携帯端末やコンピュータなどのインタラクティブ・メディアの使用者が増えるにつれ、広告主はCMの露出だけでなく、番組や宣伝に対する視聴者の反応を知りたがるようになるだろうと述べている。ただじっと番組を見ている視聴者よりも、たとえば番組"American Idol"でお気に入りの歌手に一票を投じる視聴者の方が、(広告主にとって)価値ある消費者と考えられるというのだ。このような視聴者の質や番組へのかかわり方については、標準的な調査方法が開発されるのを待たずに、独自の調査を開始している広告会社もある。メディア購入代理店のメディアベスト(MediaVest)は視聴者の追跡調査を行い、広告の想起に加えてそれがウエブでの検索や資料請求などの行動のきっかけになったか、友人と話題にしたか、さらには購入に結び付いたかなどを調べている。同社ではまた、どのメディアがもっとも影響力を持ち、消費者の行動を変化させたかも明らかにしようとしている。

◆情報ソース
It's Not Just Size of the Audience That Matters (Advertising Age)




ディズニーABCグループがCM付オン・デマンド放送を実験

ウォルト・ディズニー・ネットワーク(The Walt Disney network)は25日、ビデオ・オン・デマンド放送事業者を対象に、同社の人気番組を提供すると発表した。ただし、番組提供を受けるには条件がある。対象番組の放送時間中は、CMの飛ばし視聴を避けるために早送り機能を停止することだ。

同社は昨年、全米第3位のケーブルテレビ事業者「コックス・コミュニケーション」(Cox Communication)と、同じく早送り機能を停止することを条件にスポーツ専門局ESPNの人気番組を提供する契約を交わし、秋からカリフォルニア州オレンジ郡の加入世帯25万件を対象に実験放送を行ってきた。

今回の発表によるとディズニーは、傘下のABCのプライム・タイム・シリーズとESPNのカレッジ・フットボール中継を提供し、実験放送を5月から開始する。さらにABCは、この実験放送に参加する事業者に、対象番組30分あたり1本の割合で30秒CMを挿入する権利も付与するという。

ABCによると、上述のコックス・コミュニケーションとの実験放送の結果、早送り機能を制限された環境で番組を視聴した人の93%が、無料でABCの番組を見ることができるのであればCMを受け入れると答え、さらに20%の人が、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)ではなくオン・デマンド放送でABCの番組を視聴したという。今回のビデオ・オン・デマンド事業者への呼びかけは、この実験放送の結果を受けて、ディズニーABCグループが「視聴者は無料で好きな時間に人気番組を見られるのであれば、CM放送を受け入れる」と判断してのことだろう。

それでは、どの程度CMを入れるのか。ABCによると、通常放送よりは"ずっと減らして"1時間あたり30秒CMを5~10本程度にする予定だが、実験放送を通じてそのバランスも模索していくという。

マグナ・グローバル社(Magna Global)の推計によると、2012年までに米国のDVRによる視聴世帯は全テレビ視聴世帯の36.5%にあたる4290万に、一方ビデオ・オン・デマンドの視聴世帯は全テレビ視聴世帯の53.5%、6280万に達するという。はたして、あくまでもCMを避けてDVRや有料放送を選ぶ人が主流になるのか、CM付きの無料オン・デマンド放送の視聴者が増えていくのか。あるいは、番組の見方によって視聴者のセグメント化が進んでいくのかもしれない。

◆情報ソース
Watch 'Grey's Anatomy' When You Want, Just Don't Skip Ads (Advertising Age)
ABC Gives TV Affils Spots For VOD (Media Daily News)




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