A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2008年02月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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ユニリーバが経営体制を再編

ダヴ、モッズ・ヘア、レセナ、ラックス、リプトン、ブルックボンドなどの有力ブランドを有する世界第2位の大広告主ユニリーバは28日、2005年にパトリック・セスコー(Patrick Cescau)氏がCEOに就任して以来最大のシニア・マネジメント職の再編成を行うと発表した。

この発表によると、5月の株主総会終了後、ホーム&パーソナルケア部門と食品部門は、現食品部門担当プレジデントVinvi Banga氏のもとに統合。また、アジア・アフリカ地域担当プレジデントのHarish Manwaniは、中央・東ヨーロッパの責任者も兼任し、発展途上市場の開発を一手に引き受けることになる。現ヨーロッパ担当プレジデントのKees van der Graaf氏と、現ホーム&パーソナル・ケア部門担当プレジデントのRalph Kugler氏は退任する。この二人のインド人の権限拡大により、かつてイギリス・オランダの二重本社制を敷いていた企業の経営トップに、イギリス人もオランダ人もいないことになる(セスコー氏はフランス人)。

なお、広告および製品開発を含むブランド・ディベロップメントの組織は、Banga氏の指揮下に置かれる。Manwani氏と全アメリカ大陸の担当プレジデントであるMichael Pork氏は、各担当地域の収益実現とメディア・バイイングをはじめとするマーケティングの責任者として機能する。

セスコー氏は現職に就任以来、二重本社制による組織の重複・錯綜を一掃するために「ひとつのユニリーバ計画」を進めてきた。今回の再編は、この組織再構築の仕上げとなるものだ。こうした再編計画と並行して、ユニリーバ社は2万人規模の世界的な人員削減計画と、北米の洗剤事業の売却を進めている。

◆情報ソース
Unilever Combines Divisions, Shores Up Overseas Leadership (Advertising Age)





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ディズニーABCグループがCM付オン・デマンド放送を実験

ウォルト・ディズニー・ネットワーク(The Walt Disney network)は25日、ビデオ・オン・デマンド放送事業者を対象に、同社の人気番組を提供すると発表した。ただし、番組提供を受けるには条件がある。対象番組の放送時間中は、CMの飛ばし視聴を避けるために早送り機能を停止することだ。

同社は昨年、全米第3位のケーブルテレビ事業者「コックス・コミュニケーション」(Cox Communication)と、同じく早送り機能を停止することを条件にスポーツ専門局ESPNの人気番組を提供する契約を交わし、秋からカリフォルニア州オレンジ郡の加入世帯25万件を対象に実験放送を行ってきた。

今回の発表によるとディズニーは、傘下のABCのプライム・タイム・シリーズとESPNのカレッジ・フットボール中継を提供し、実験放送を5月から開始する。さらにABCは、この実験放送に参加する事業者に、対象番組30分あたり1本の割合で30秒CMを挿入する権利も付与するという。

ABCによると、上述のコックス・コミュニケーションとの実験放送の結果、早送り機能を制限された環境で番組を視聴した人の93%が、無料でABCの番組を見ることができるのであればCMを受け入れると答え、さらに20%の人が、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)ではなくオン・デマンド放送でABCの番組を視聴したという。今回のビデオ・オン・デマンド事業者への呼びかけは、この実験放送の結果を受けて、ディズニーABCグループが「視聴者は無料で好きな時間に人気番組を見られるのであれば、CM放送を受け入れる」と判断してのことだろう。

それでは、どの程度CMを入れるのか。ABCによると、通常放送よりは"ずっと減らして"1時間あたり30秒CMを5~10本程度にする予定だが、実験放送を通じてそのバランスも模索していくという。

マグナ・グローバル社(Magna Global)の推計によると、2012年までに米国のDVRによる視聴世帯は全テレビ視聴世帯の36.5%にあたる4290万に、一方ビデオ・オン・デマンドの視聴世帯は全テレビ視聴世帯の53.5%、6280万に達するという。はたして、あくまでもCMを避けてDVRや有料放送を選ぶ人が主流になるのか、CM付きの無料オン・デマンド放送の視聴者が増えていくのか。あるいは、番組の見方によって視聴者のセグメント化が進んでいくのかもしれない。

◆情報ソース
Watch 'Grey's Anatomy' When You Want, Just Don't Skip Ads (Advertising Age)
ABC Gives TV Affils Spots For VOD (Media Daily News)




雑誌社とインターネット・メディアの提携が続々と

米国では今週、雑誌出版社が次々とインターネット・メディア企業との提携を発表した。提携先企業の、新しいデジタル・コンテンツの開発能力、広範な読者層へのリーチ、そして広告売上の拡大を見込んでのことだ。なかには、複数のライバル出版社がひとつのインターネット・メディア企業にコンテンツを集結させるケースもある。

まず水曜(20日)に、『Esquire』『Harper’s Bazaar』『Seventeen』などを発行するハースト・コミュニケーションズ(Hearst Communications)の子会社ハースト・マガジンズ・デジタル・メディア(Hearst Magazines Digital Media)が、YouTubeおよびAOLと、それぞれ別個の提携関係を結んだと発表した。

YouTubeとの提携では、ハーストは同社の15の雑誌とオンライン出版物のブランドを冠したチャンネルを作り、『Harper’s Bazaar』チャンネルでは最新のファッションと美容、『Good Housekeeping』チャンネルでは料理といったように、それぞれの出版物の特色に応じた動画を提供する。また、視聴者も自由に動画をアップロードし、出版物の記事内容に応じて投稿ができるようにする。この事業が成功した場合、ハーストとYouTubeは提携コンテンツによりもたらされる広告売上を分け合う。

AOLとの提携では、ハーストだけではなくコンデナスト(Conde Nast)とタイム(Time Inc.)も加わり、AOLのホームページをハブとして、インテリアやエンターテインメント分野のコンテンツを提供する。ハーストは『Redbook』『Country Living』『House Beautiful』、コンデナストは『Architectural Digest』『Domino』、タイムは『Real Simple』『This Old House』のコンテンツへのアクセスを提供する。

同じ水曜日、『Parenting』と『Baby Talk』の出版元ボニエル社(Bonnier Corp)は、子供の健康情報を提供するサイト『Child Health Guide』の運営元LLC社と提携し、ボニエル社のウエブサイト『Parenting.com』のユーザーに限定して『Child Health Guide』のデータベースやヘルス・チェッカーなどのサービスが利用できるようになると発表した。ボニエル社はこれまでも、健康関連のウエブサイトを対象に提携や買収を進めてきた。

この他に、『ELLE』『Car & Driver』などの出版社アシェット・フィリパッキ(Hachette Filipacchi)は、女性向けサイト/ブログの大手運営会社グラム・メディア(Glam Media)と提携し、アシェット社が運営する映画情報サイト『Premiere.com』の広告販売をグラム・メディアが独占的に行うと発表した。アシェット社はグラム・メディアのエンターテインメント・チャンネルへのコンテンツ提供も行う。『Premiere』はもともと、アシェット社の看板映画雑誌だったが、販売部数と広告収入の不調により昨年3月に休刊。オンライン版だけは存続していた。

◆情報ソース
Mags Dizzy With Digital Deals (MediaDaily News)
Hearst’s new YouTube mags (Crain's New York Business.com)
New Look and New Partnership for Parenting.com (Bonnier社リリース)
Glam Media Strikes Partnership with Premiere.com (FOX BUSINESS)








なめる広告

香り付きの広告はいまや珍しくもないが、米『ピープル』誌の2月18日号には「舐める」広告が掲載されるそうだ。

広告主はウエルチ。ページの裏表を使った広告で、おもて面には同社のグレープジュースの商品写真と並んでステッカーがあり、それをはがすとページ裏面に張り付けた味のサンプルが現れる仕組みらしい。

ウエルチ広告


舐める広告はこれが初めてではない。CBS放送は新ドラマシリーズ”Cane”のプロモーションの一環として、モヒート(ラムベースのカクテル)の味付き広告を『ローリング・ストーン』誌に掲載した。 "Cane"は、サウスカリフォルニアに広大なラムと砂糖の畑を有するキューバ系アメリカ人一家の物語で、この広告では架空のブランドのラム酒を「味わえる」というしかけだ。

香り付き広告と違って懸念されるのは、誰かが舐めた広告を他の人が舐めてしまう危険性がないかということ(病院などの待合室に掲載雑誌が置いてあれば、それは十分起こり得る)。こうした事態を避けるため、ウエルチとCBS放送の味付き広告を製作したFirst Flavor社では、ステッカーを一度はがしたらもとにもどせないものにしたという。

これで安全性が保証されるかはさておき、こうした「特殊広告」は確かに効果があるらしい。米調査会社GfK Starchの調査によると、ポップアップ、音付き、マルチページなどの特殊広告は通常の広告よりも想起率が高い。香り付き広告でも、広告コピーを読んだ人の割合が36%向上したとのこと。

◆情報ソース
Welch's Debuts Flavored Ads(Media Daily News)
Marketers Salivate Over Lickable Ads(Wall Street Journal)

◆参考
CBS放送のドラマ "Cane" のホームページ






ニューズ・コーポレーションがヤフーに事業統合を提案

2月8日の記事で、ニューズ・コーポレーションがヤフーのホワイトナイトになる可能性はないと書いたが前言撤回。たしかにニューズ社のCEOルパート・マードックは2月4日の売上報告で「ヤフーとの交渉可能性は絶対ない」と明言していたのだが…

マイクロソフトが買収提案を行っているヤフーとの交渉に、ニューズ社が乗り出したとの報ははじめ、デジタル・ビジネス・ニュース・サイトの『シリコン・アレイ・インサイダー』(Silicon Alley Insider)やブログの『テッククランチ』(TechCrunch)が伝え、13日になってニューズ社傘下の『ウォール・ストリート・ジャーナル』(The Wall Street Journal)の報道で事実であることがはっきりした。

交渉の中身は、ニューズ社が500億ドルを投じ、傘下のフォックス・インタラクティヴ・メディアをヤフーの一部として統合するとともに新会社の株式の20%を所有するというものだ。いまは、限られた有力株主がこの交渉の中身と投資額をどのように評価するか、打診している段階だという。

ニューズ社とヤフーの交渉が成立すると、ディスプレイ広告の巨大企業が誕生することになる。インターネット接触状況調査会社のコムスコア(ComScore)によると、オンライン・ディスプレイ広告の市場占有率は、ヤフーが18.8%、フォックス・インタラクティヴがマイスペース(MySpace)も含め16.3%。対してマイクロソフトは6.7%にすぎない。逆に検索市場で見ると、ヤフーとフォックス・インタラクティヴの組み合わせは、マイクロソフトとヤフーの組み合わせにはるか及ばない。米国における検索件数はマイクロソフトが9億8400万件で、一方マイスペースは3億4200万件である。今回の交渉に詳しい筋によると、マイクロソフトよりもフォックス・インタラクティヴのほうがヤフーとの親和性が高いという。フォックス・インタラクティヴとヤフーの広告プラットフォームの統合は、(どちらを優先するかの争いはあるかもしれないが)難しいことではないし、マイスペースのターゲティング・データとヤフーの行動追跡データを組み合わせれば、強力な武器になるというのだ。

ニューズ社とヤフーにとって最良のシナリオは、両社の株主がこの取引を500億ドルの投資に見合ったものだと評価することだ。逆に最悪のシナリオは、この交渉が引き金となって、マイクロソフトが当初の提示額(446億ドル)を引き上げることである。■

情報ソース
Yahoo, News Corp. in Talks Amid Microsoft Bid (Wall Street Journal Online)






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