A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 200803

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

米国でも若年層の新聞離れが顕著

若い人たちほど新聞ではなくインターネットをニュースソースとしていることが、調査会社comScoreの調査でわかった。下の表は週に何回新聞を読むかを年齢層別にまとめたもので、回答者(18歳以上の男女)全員を100とした場合の指数で比較してある。(クリックすると拡大して見られます。)

comscore-newspaper-reader-segments-demographic-profile-age.jpg

(Heavy: 週に6回以上新聞を読む Medium: 週に3-5回読む Light: 週に1-2回読む Non-Readers: 週に1度も読まない)

年齢が高い層ほど新聞をよく読み、若い層ほど新聞を読まない傾向があることがはっきりとわかる。

また、次の表からわかるように、新聞を読まない人はニュースを必要としていないかというとそうではなく、新聞をよく読む層と同じように、新聞、テレビ系をはじめ様々なニュースサイトを見ている。ただし、テレビ系のサイトについては、新聞を読まない層の方が読む層よりも、よく利用する傾向がある。

comscore-newspaper-reader-segments-news-website-visitations.jpg


別の調査では、新聞に限らず既存のジャーナリズムに対する不満が浮き彫りにされている。WeMedia/Zogbyが18歳以上の男女1979名を対象に実施したオンライン調査で、それによると回答者の67%が、既存のジャーナリズムは米国民が欲しているニュースとは的外れな報道をしていると感じている。また、70%が、自分の属するコミュニティの生活の質を高める上でジャーナリズムは重要だと答える一方で、64%はそのコミュニティのジャーナリズムには不満を持っている。

回答者の半数近く(48%)は、ニュースや情報の最大のソースとしてインターネットをあげている(昨年の調査では40%)。インターネットを挙げた人の割合は18〜29歳の層では55%と高く、逆に65歳以上の層では35%と低い。この、65歳以上の層は、この調査で唯一、インターネットではなくテレビを最大の情報源としている。回答者全体では、テレビを最大の情報源として挙げた人は29%で、ラジオ(10%)や新聞(11%)よりは多かった。18-29歳の層で新聞を最大の情報源と答えた人はわずか7%だった。

インターネットはもっともよく見られているだけではない。もっとも信頼できる情報源としても、インターネットは1位(32%)で、新聞(22%)、テレビ(21%)、ラジオ(15%)を上回った。オンライン調査なので、回答者がインターネットに親和的な人に偏っている可能性はあるが、ジャーナリズムを標榜するメディア―特に新聞にはショックな結果であるに違いない。日本で同じ調査を実施しても、同様の(あるいは既存メディアにとってもっと辛辣な)結果が出るような気がするが…。

◆情報ソース
Younger, Heavy Online-News Consumers Don’t Read Newspapers (comScore)
Two thirds of Americans view traditional journalism "out of touch" (Wemedia)






スタバ一時閉店顛末

米スターバックスが2月26日の午後5時半から9時まで、バリスタの再教育のために全米7100店舗を一時閉店したことは日本でも報じられた。この閉店による売上損失は、200〜400万ドルにのぼるが、その見返りは十分にあったはずだと『アドバタイジング・エイジ』は伝えている。なにしろ、全米のメディアやブログなどがこのニュースを取り上げたから、「上質のコーヒーへの情熱を共有できる店」(スターバックスのプレスリリースから)であり続けるためにバリスタを再教育するという同社の姿勢をPRできたはずであるし、その結果、売上も同社の株価も再浮上する……はずだった。

starbucks031208.jpg


Aegis Groupの調査会社Synovateが行った調査(サンプル数:1000)によると、回答者の75%はスターバックスの一時閉店を知っていた。が、半数以上は、その理由を知らなかったという。

スターバックスの一時閉店に合わせて、スペシャル・プロモーション(スモール・ラテ、カプチーノ、エスプレッソを99セントで販売)を展開したダンキンドーナツはどうだったのか。上記の調査によると、スターバックスの一時閉店中にコーヒーを買おうとした人は回答者の10人に1人。そのうち約20%はダンキンドーナツへ行ったが、全回答者からみるとその割合は2%だ。

『アドバタイジング・エイジ』は別の調査も紹介している。調査会社PoliMetrixは、5000人を対象に1000のブランドに関するインタビューを毎日行っている。この調査の結果を同社は加工し、マイナス100から100までの話題度(buzz rating)をはじき出している。発売直後のiPodのようにどんなに話題性が高くても、話題度はせいぜい40代までしか到達しないという。

この話題度で見るとスターバックスは、一時閉店を発表するまでは1桁台だったが、発表後は10代後半まで上昇し、3月の第1週までその位置にあった。以後12まで落ちたものの、それでも2月の水準よりは高い水準にある。

一方ダンキンドーナツは、20代前半だった話題度が、上記のプロモーション後は30代に上がり、この記事の書かれた日(11日)の前日は31だった。PoliMetrixは、この結果には、ダンキンドーナツが最近行っているTVコマーシャルも寄与している可能性があるとしている。

ちなみに、一時閉店後、スターバックスの売上と株価は大きな変化を見せていない。■

◆情報ソース
米スタバ、従業員教育で全米店舗を一時閉店 (NIKKEI NET)
Dunkin' Donuts tries to snag Starbucks customers (newsday.com)
News Outlets Fixate on Starbucks' No-Joe Play (Advertising Age)
Starbucks' Message Lost on Consumers (Advertising Age)





米雑誌協会が媒体評価の新指標を提案

米国雑誌協会(Magazine Publishers of America: MPA)は今週、雑誌の部数ではなく、総読者数と閲読状況をもとにした新たな媒体効果測定方法を開発する計画を発表した。測定の対象となるのは、
●雑誌の号ごとの媒体接触状況と、年齢、性別、収入、人種、家族構成などのデモグラフィクス
●号ごとの広告関与状況調査
●広告の結果もたらされた消費者行動
などの分野。

この新調査の当面の目的は、主要200誌の号ごとの媒体接触状況、広告関与、広告による消費者行動を週刊誌の場合は発売後6〜8週間、月刊誌の場合は発売後8〜12週間で明らかにすることにある。その後、対象誌発売から計測までの期間を短縮するために予測モデルを開発し、対象誌を拡大するために計測方法のバリエーションも増やすとのこと。

この発表が物議をかもしている。雑誌出版社が発行部数ではなく、回読者も含めた総読者数(および読者の特性)を媒体評価の指標とする姿勢を明らかにしたからだ。ニューススタンドで雑誌を購入した人や定期購読者だけではなく、その雑誌を回し読みした友人や家族、あるいは美容室や病院の待合室でたまたま雑誌を開いた人も読者とみなし媒体評価のベース=広告料金の根拠とするということだ。

もっとも、こうした動きは今に始まったことではない。『TIME』は2006年11月に、レートベース(最低保証部数)を400万部から325万部に減らし、この新レートベースあるいは総読者数(1号当たり1950万人)を広告料金の根拠として2007年1月から適用すると発表した(総読者数は、市場調査会社MRI: Mediamark Research Inc.の統計を基に算出)。

『アドバタイジング・エイジ』は、このような動きに対する広告会社やメディア・エージェンシーの反応を伝えているが賛否両論だ。「出版社は、通りすがりの人(2次読者)への露出に対しても料金を払わなければならない根拠を明示すべきだ。雑誌が売れなくなっていることから目を逸らさせようとしているだけではないか」という厳しい意見もあれば、「テレビやインターネットなどの他メディアがオーディエンス数(雑誌で言えば総読者数)を根拠としているのだから、雑誌も同じ基準を採用すべきだ」という声もある。中には、「いかに媒体が優れていても掲載広告の質が悪ければ良い結果は得られないのだから、クリエイティヴに関心を向けるべきだ」という意見まで紹介されている。

その上で『アドバタイジング・エイジ』は、宣伝担当者は売らなくてはならないというプレッシャーの中でより多くの質の高いデータを雑誌社に求め続け、雑誌社は高騰するコストと激化する競争のプレッシャーの中で広告主の求めに応じなくてはならないから、簡単には解決策にたどりつかないだろうとの見方を披露して記事を締めくくっている。

この締めくくり方は一見すると無責任なようだが、日本の実情を照らし合わせてみても、他に書きようがないのかな、とも思う。米国での動きがどのような結果に収斂していくのであれ、こうした議論を関係者間でオープンに積み重ねていけるのは健全なことなのだろう。■

◆情報ソース
2008 Measurement Initiative Announcement (MPA)
Magazine Publishers Push for Total Audience Metric (Advertising Age)
Time Mag: Buy by Audience or by Slashed Rate Base (Media Week)






Internet Activity Index

米オンライン・パブリッシャーズ・アソシエイション(Online Publishers Association: OPA)が先週発表したインターネット・アクティビティ・インデックス(Internet Activity Index)によると、消費者がオンラインで過ごす時間のうち、Facebook、MySpaceなどのコミュニティ・サイトのシェアは、意外なことにわずか7.5%と低い。

このインデックスは、ニールセン・オンラインが月間ユニークユーザーが100万以上のサイトを対象に計測しているデータをもとに割り出されたもので、サイトを次の5つのカテゴリーに分けている。

コンテンツ系: CNN.com、ESPN.com、あるいはWindows Media Player、MapQuestのように、主にニュース、情報、エンターテインメントを提供するために作られたウエブサイトおよびインターネット・アプリケーション
コミュニケーション系:Yahoo!Mail、AOL Instant Messenger、MSN Groupsなどのように、個人あるいはグループ間で直接的に考え、メッセージ、情報を交換するために作られたウエブサイトおよびインターネット・アプリケーション
コマース系:Amazon、eBayなどのように、オンライン・ショッピングのために作られたウエブサイトおよびインターネット・アプリケーション
コミュニティ系:個人会員やグループ構成員間の関係を構築するためのコミュニケーションの手段としてユーザーが作ったコンテンツを集合させたウエブサイトおよびインターネット・アプリケーション
検索系: Google、MSN Search、Yahoo! Searchのように、ユーザーのリクエストに基づきウエブをスキャンした結果を何らかの優先順位に従って表示するウエブサイトおよびインターネット・アプリケーション

コミュニティ系はもともとコンテンツ系に含まれていたが、今回(2008年1月)から分けて分類されることになった。

もっとも話題になっているカテゴリーであるにもかかわらずコミュニティ系サイトの消費時間のシェアが低い理由を、OPAのプレジデントであるPam Horan氏は、これらのサイトのリーチが59.5%と、コンテンツ系サイトのリーチ92.7%に比べて低いからだと説明している。

この推論を裏付けるのがユニーク・ビジター数で、コンテンツ系サイトのユニーク・ビジターが月間1億5010万人であるのに対して、コミュニティ系サイトは9620万人だった。コンテンツ系サイトの方がユーザーの裾野が広いことがわかる。また、今回からコミュニティ系を分離したにもかかわらず、コンテンツ系サイトのユニーク・ビジター数は、昨年1月の1億4450万から成長している。

コミュニケーション系サイトの消費時間シェアは、昨年1月の33.7%から1年間で28.7%に下落した。これは、おそらくコミュニティ系サイトにシェアを奪われた結果だろうと、アド・エージは推論している。

検索系サイトの消費時間シェアは年々増加傾向にあったが、昨年12月から今年1月にかけては5.2%→5.0%に減少している。しかし、これはおそらく検索系サイトの機能が向上し少ない時間で検索ができるようになったためで、その証拠に、同カテゴリーのサイトは、ページ・ビュー、一人あたりの閲覧ページ数(pages per person)、ユニーク・ビジター数、総消費時間、リーチのいずれも伸びている。

◆情報ソース
Internet Activity Index (Online Publishers Association)
※ここで2007年1月〜2008月1月の月ごとの全データを閲覧できる

When It Comes to Time Spent Online, Content Trumps Community (Advertising Age)





ヤフーとの統合は慎重にとマイクロソフト

News Corp.のマードック会長・CEOは、ヤフーをめぐってマイクロソフトと争うつもりはないと表明したらしいが、一方でマイクロソフトは、ヤフー買収が実現した場合、株主への利益の提供に遅れが生じることになっても、技術的なプラットフォームの統合は急がないと表明した。

フィナンシャル・タイムズの取材に応じて同社のチーフ ソフトウェア アーキテクトのレイ・オジー氏(Ray Ozzie)が答えたもので、ヤフーはマイクロソフトと異なるタイプの技術を数多く有し、独自の企業文化をもっているが、マイクロソフトがヤフーとの統合により財政面の利益を追求するのではなく、インターネット・ユーザーと広告主を混乱させないことに力を注げば、その目的(=買収)は達成できると楽観している、と述べた。

◆情報ソース
マードック氏:「ヤフーをめぐってMSとは戦わない」(CNET Japan)
Microsoft wary on Yahoo integration (Financial Times)





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