A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2008年05月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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米雑誌読者属性調査:MRIをめぐる一喜一憂

調査会社MRI (Mediamark Research & Intelligence)の最新のオーディエンス・レポートが発表された。これは、同社が年に2回実施している全米消費者調査(Survey of the American Consumer)から、雑誌の閲読状況と読者の社会属性データを抜き出したもの。サンプル数は26,000で、調査は対面式で行われる。日本ではビデオリサーチ社がACR (Audience and Consumer Report)という調査を行っているが、ACRと同じく媒体計画の参考に使われるため、発表のたびに出版社を一喜一憂させている。

このMRIレポートの結果を報じているMediaweekとFolioの記事から、主なデータを抜粋して紹介する。(全雑誌のデータはここからダウンロードできる。)

アメリカでも若年層の雑誌離れが深刻になっているが、読者の中間年齢の低い雑誌のトップ5は、Teen Vogue (23.8歳)、Cosmo Girl (24.1歳)、Seventeen (25.5歳)、Game Informer (26.1歳)、Xbox (27.3歳)。ティーン誌読者の中間年齢が20代半ばとは、出版社にとって(広告主にとっても)ショッキングな数字だろう。

回読者数の多い雑誌のトップ5(カッコ内は1部あたりの読者数):Bridal Guide (26.77人)、Truckin (26.35人)、Street Rodder (23.62人)、WWE magazine (19.76人)、Super Chevy (19.69人)

逆に、回読者数の少ない雑誌トップ5:Endless Vacation (1.06人)、More (1.16人)、AAPP (1.42人)、American Legion (1.44人)、 Inc. (1.55人)

公共施設(店内、美容室、病院など)に置かれている雑誌は、当然のことながら実売部数に比べて読者数が膨らむ(=1部あたり読者が多い)。女性ライフスタイル誌「More」や有力ビジネス誌「Inc.」の1部あたり読者が、これほど少ないとは驚きだ。

読者の世帯所得(中間値)の高い雑誌トップ5:Hemispheres ($126,377)、Veranda ($117,428)、The Economist ($117,225)、NWA World Traveler ($104,363)、Delta Sky ($103,174)

これらのうち、Hemispheres、NWA World Traveler、Delta Skyの3誌は機内誌。機内誌以外でトップになった「Veranda」は、Hearst Communications社が発行するホームデザイン&インテリア・デコレーション誌(実売部数472,000部)である。Condé Nast社のハイエンド女性誌「W」は、読者の世帯所得が昨年の$104,100から$72,200へと大幅に落ちた。

なぜ、たった1年でこのような大変化が起こるかというと、おそらくサンプル数が原因であると思われる。実際に、アメリカの出版社からは、MRIの調査はサンプル数が少なすぎるため信頼性に欠けるとの指摘がなされている。サンプルが少ないと、ほんの一握りの回答者が雑誌の全読者を代表することになる。エッジのきいたファッション誌や超富裕層向けの雑誌など、セグメント化の進んだ少部数の雑誌ほど、その危険性は高い。同じことはビデオリサーチ社のACR(12~69歳の男女8,700サンプルから日本全国のオーディエンスを推計)にも言える。

◆情報ソース
Which Magazine Has the Youngest Readers? (Folio)
MRI: Women's Titles See Reader Income Dropoff (Mediaweek)




米雑誌広告が深刻な落ち込み

米国では景気後退の影響を受けて、雑誌集稿ページ数が、第1四半期(1‐3月)で前年同期比マイナス4.61%、第2四半期(4‐6月)予測値でマイナス6.14%と、大幅に落ち込んでいるとmin onlineが伝えている。これは1991年にブッシュ政権がluxury tax(贅沢税)を導入した時と、2001年の9.11事件後、2002年上半期の数字が前年下半期に比べて落ち込んだ時以来の下げ幅だという。秋のファッション特集を控えている女性ファッション誌にとっては、非常に悪い兆候だ。年末商戦で広告増が見込まれる第4四半期の業績も懸念される。景気の影響は、遅れて雑誌広告の業績に反映されるため、今後経済が持ち直しても広告はすぐには回復しないだろうと、min onlineは分析している。

ただし、中には広告ページ数を伸ばしている雑誌もある。そのトップ5は以下のとおり。(カッコ内は出版社)

誌名(出版社)カテゴリー2008年上半期(ページ)2007年上半期(ページ)増加率(%)
Woman’s Health (Rodale Inc.)女性健康375.15282.6632.72
Successful Farming (Meredith Corporation)農業306.86260.6517.73
Spin (Spin Media LLC)音楽306.32261.8416.99
Every Day with Rachael Ray (Reader's Digest Association, Inc.) 料理375.66325.5515.39
House Beautiful (Hearst Communications)インテリア377.18332.7013.37


◆情報ソース
min's Exclusive Analysis of the Monthlies' Ad Pages--First-Half-2008 (min online)



ビジネスエリート対象のメディア利用状況調査

米調査会社Ipsos MediaがC-suiteおよび意思決定の立場にあるエグゼクティヴを対象に昨年実施したメディア利用状況調査の結果が、一部公開された。C-suiteとは、CEO(chief executive officer)、COO(chief operating officer)、CFO(chief financial officer)などのチーフ・オフィサー、つまり企業あるいは主要部門の最高責任者を指す言葉。

この調査はIpsos Mediaが毎年行っているもので、原則として従業員が250人以上の企業の重役が対象。(250人未満の企業の場合、年間売上が4,000万ドル以上となる見込みであることが資格要件となる。)昨年の調査は、サンプル数が2,390。回答者の87%は男性で、平均個人年収は40万ドル以上、不動産を除く資産総額は170万ドル以上とのこと。その結果を抜粋する。

Ipsos Mediaの分析によると、過去2年間に、プリント・メディアのウエブサイトを利用するビジネス・エグゼクティヴたちは大幅に増えている。しかし、それがテレビなどの他のメディアとの接触時間を減らしているわけではない。
2006年2007年
ウエブサイトは出版物が提供するものの中で重要な要素だ50%73%
ビジネスに関する情報をインターネットで閲読することに、以前よりも多くの時間を費やすようになった65%68%
自分のテレビの視聴状況に、インターネットはほとんど影響していない57%64%


チーフ・オフィサー・クラスのエグゼクティヴに限定すると、ほぼ半数(47%)が、インターネットはビジネス系出版物の読書状況に影響していないと答えている。ということは、半数以上はおそらく、インターネットから得られる情報で事足りることがあるので、以前ほどはビジネス誌・書籍を読まなくなったということだろう。とはいっても、下のグラフに示されているように、彼らがビジネスに関して何かを参考にしたいとき、あてにするメディアの筆頭はビジネス誌で、ほぼ同率でインターネットが並んでいる(青いバー)。一方、ビジネス・ニュースの主要ソースとしては、新聞(全国紙)が筆頭で、次いでインターネット、ケーブルTV、ビジネス誌となっている。
自分のビジネス系出版物の読書状況に、インターネットはほとんど影響していない47%
ビジネスに関する情報をインターネットで閲読することに、以前よりも多くの時間を費やすようになった68%
出版社系のウエブサイトを毎日チェックしている38%

ipsos-media-graph.jpg

その他に興味深いデータとしては、
■Cレベル(チーフ・オフィサー・クラス)のうち、HDTVの所有率は60%、iPodの所有率は40%。
■同じくCレベルのうち、36%はブラックベリー(Blackberry)を、35%は衛星ラジオを利用している。BlackberryとはカナダのIRM社が開発・販売している、通信機能を内蔵した携帯情報端末。衛星ラジオは、国土の広い米国のどこにいても同じ局の放送を聴くことができるデジタル放送サービス。レストランやホテルなどのBGMの、主要プロバイダーにもなっている。
■Cレベルのうち72%が、最新の技術を捕捉することはビジネスの成功に欠かせないと答えている。
■Cレベルのうちブログを読んでいる人は30%。自らブログを書いている人はわずか4%。


Ipsos Mediaでは、調査対象者を割り出すために以下のステップを踏んでいるという。
■大手信用調査会社ダン&ブラッドストリート(Dun&Bradstreet)のリストから、サンプルを抽出。
■各企業に電話をかけ、回答を依頼する上級管理職の人々を特定。
■特定した上級管理職に調査への協力を依頼し、郵送調査かオンライン調査かを選んでもらう。
■回収した回答にウエイト付けを行い、全米の母集団の構成比を割り出す。

不思議なのは、多忙で裕福なエグゼクティヴたちが、なぜ調査に協力するかだ。日本でもお金持ちを対象とした調査は、よほどのメリットがないと答えてくれないから苦労する。忙しさを極めるトップ・エグゼクティヴならなおさらだ。よほど社会的に意義のある調査なのか、対象者リストに入ることがステータスなのか。あるいは、回答者には調査結果の分析データが無料(または格安で)提供されるとか―それはないだろう。
ご存知の方がいたら教えていただきたい。

◆情報ソース
US Business Elite Embracing Online Media (Marketing Charts)


アシェットがデジタル部門を再編?

出版社アシェット・フィリパッキ・メディアU.S.は、自社の発行する雑誌をshelter(家のインテリア・エクステリア、改装・改築:Metropolitan Home、Elle Décor、Home、Budget Decoratingなど)、automotive(車雑誌:Car and Driver、Road & Track)、fashion(ファッション誌:ELLE)、women & health(女性のライフスタイルと健康:Women’s Day)などのグループに分け、それぞれにウエブ事業の強化を進めている。

昨年4月にはshelterグループのハブとなるサイトPointClickHome.comを立ち上げ、サイト内検索広告とスポンサーシップの販売を始めた。その後10月には同サイトにショッピング用検索エンジンTheFind.comのサービスを組み入れ、さらに今年4月、インテリア・デザインと室内装飾のサイトDesignMyRoom.comと提携し、スポンサー企業の製品をユーザーがドラッグ&ドロップで仮想空間に配置し、様々な組み合わせを試すことができるようになった。

Automotiveのグループでは、昨年4月に車分野に特定した広告ネットワークJumpstart Automotive Mediaを、8,400万ドルを投じて買収。NADAguides.com、Vehix、JD Power & Associates Autos、How Stuff Works/Consumer Guide Autos、Shopping.com Autoなどの既存サイトに上記の車雑誌のサイトを組み入れて広告枠の販売を行っている。また、今年2月22日のエントリーで紹介したように、女性向けサイト/ブログの大手運営会社グラム・メディア(Glam Media)と提携し、同社に映画情報サイトPremiere.comの広告販売を委託する一方で、コンテンツの提供を行っている。

このようなアシェット・フィリパッキ・メディアのウエブ事業を推進してきたのは、2005年に同社に招き入れられ、デジタル・メディア担当のヴァイス・プレジデントまで登りつめ、アドバタイジング・エイジで “Women to Watch 2007(2007年注目の女性)”の一人として取り上げられたMarta Wöhrleという女性なのだが、昨年末、彼女はアシェットを去った。退職の理由はわからないが、いまは独立してサイトの運営を行っているらしい。

今年1月、Marta Wöhrle女史の後任として、Maxim DigitalにいたTodd Anderman氏がヴァイス・プレジデントに就任した。そして先週金曜(5月9日)、Anderman氏による組織再編の一環だと思われるが、アシェットはデジタル部門のスタッフ15名を削減すると発表した。アシェットは詳細を明らかにしていないが、その中にはElle.comのプロデューサー、Ellegirl.comのファッション・エディターとシニア・エディター、Premiere.comの映画評ライターなどが含まれているらしい。

ボスが入れ替わるとスタッフまでが刷新されるケースは欧米の企業では珍しくない(日本でも珍しくなくなっている?)が、それにしても…である。デジタルの世界同様、それを動かす組織も目まぐるしく移り変わっている。

◆情報ソース
Hachette Goes for In-Market Decorators with New Online Home Hub (The ClickZ Network)
Hachette Enters Content/Ad Sales Deal With Shopping Engine (Mediapost.com)
PointClickHome.com Partners With DesignMyRoom.com (Reuters)
Hachette to Buy Jumpstart (Mediaweek)
Todd Anderman Named SVP Digital Media at Hachette, Replacing Marta Wöhrle (Min Online)
THE WEB CUTS JOBS, TOO (WWD.com)



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