A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2008年07月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

米国雑誌広告 1-6月は前年比マイナス7.4%

PIB(Publishers Information Bureau)から、今年1-6月の米国の雑誌広告集稿状況が発表され、その概要が米雑誌協会(MPA: Magazine Publishers of America)のウエブサイトに掲載されている。

それによると、今年上半期の雑誌の広告集稿ページ数は昨年同期比7.4%減。第2四半期(4-6月)の集稿ページ数は昨年同期比8.2%減(料金表記載の広告料金で算出した金額ベースでは3.1%減)だった。広告カテゴリー別にみると、落ち込みのもっとも大きかったのが自動車(Automotive)で、1-6月で昨年同期比21.3%の減少。その他に大きく落ち込んだのは、技術(Technology ):17.5%減、家具・日用品(Home furnishings & supplies):14.1%減、医薬品類(Drugs & remedies):13.2%減、化粧品類(Toiletries & cosmetics):11.1%減などのカテゴリーだった。逆に昨対で増加したのは、飲料、加工食品などの食品関係(Food & food products):6.9%増、百貨店、バラエティ・ストアなどの小売(Retail):2.3%増などのカテゴリー。

雑誌タイトル別に見ると、自動車雑誌は相変わらず苦戦している。第1四半期の結果を紹介した4月30日のエントリーで、Car and Driverは前年比プラスと書いたが、同誌もマイナス8.6%(ページ数)に転じた。音楽誌もほとんどが前年比マイナス20%前後のままで、回復の兆しはない。ニュース誌も、TIME(-21.1%)、Newsweek(-22.4%)、US News & World Report(-30.3%)と、大きく落ち込んでいる。が、一方で、子育てや働くおかあさん向け、料理の分野では金額、ページ数ともに2桁台の伸びを見せている雑誌も多い。

◆情報ソース
MPA: Jan - June 2008 vs 2007: 広告カテゴリー別
MPA: Jan - June 2008 vs 2007: 雑誌タイトル別





スポンサーサイト

不況の影響がオンライン業界にも

不況とは無関係と見られていたインターネット業界だが、先週発表されたメインプレーヤーたちの業績は、予想を下回るものだった。

Googleのネット・インカムは12億51千万ドル、希薄化後1株当たり利益は3.92ドルで、アナリストが予想した成長率は達成できなかったと、Advertising Ageは伝えている。それでも、昨年第2四半期の業績(1株当たり利益2.93ドル)を35%、上回っている。同社の経営陣は、業績が予想を下回った原因は、経済環境やオンライン広告市場の減速にあるのではなく、財政上の施策とダブルクリック買収の影響にあると説明しているが、ValueClickなど他の企業の業績を見ると、オンライン広告市場も不況の影響を免れていないことはまちがいなさそうだ。

ValueClickは今年第1四半期に17%の成長を達成したが、第2四半期の業績予想は1桁台に下方修正した。ディスプレイ広告が落ち込みを見せているからだ。広告会社Universal McCannは今月はじめ、ディスプレイ広告の成長率を昨年12月に発表した16%から12%に下方修正した。

Microsoftも先週22日に発表された決算報告の利益の数値が予想外に低く、株価を6%落とした。同社は、広告事業を含むオンライン・サービス部門の業績を売上ベースで24%伸ばしたものの、同部門は6月末までの第4四半期で4億8800万ドルの損失を出した。ネット通販・オークションのEBayも消費者の買い控えのあおりを受けて、株価がおよそ14%下落した。同社はGoogleの最大の広告主だ。

インターネット広告は急成長しているとはいえ、広告予算に占めるシェアは大きくない上、他のメディアよりも広告効果が測定しやすいため、不況の影響を受けにくいと考えられていたが、無傷というわけにはいかないようだ。

◆情報ソース
Online Ad Growth May Be Losing Momentum (Advertising Age)
Will Economic Downturn Sink Digital? (Adweek)



プロクター・アンド・ギャンブル社の新マーケティング・オフィサー

全米最大の広告主であるProctor & Gambleのグローバル・マーケティング・オフィサー、Jim Stengel氏(53歳)が今年10月末をもって退任すると、1週間ほど前に伝えられた。

Stengel氏のポジションを引き継ぐのはP&G社で勤続26年のベテラン、Marc Pritchard氏(48歳)だ。Pritchard氏とはどんな人物なのか。Adweekが “All About P&G’s New Global Marketing Officer”と題する記事を掲載している。

この記事によるとPritchard氏は、1982年にインディアナ大学を卒業後、P&Gに入社し、財務部門を皮切りに宣伝、マーケティング、情報テクノロジーなど様々な部署でキャリアを積んだらしい。彼の業績でもっとも知られているのが、カラー・コスメティックの有力ブランド「カバーガール(Cover Girl)」のリブランディングだ。「カバーガール」は1989年にP&GがNoxel社から買収したブランドで、かなりのブランド力を持っていたにもかかわらず、Pritchard氏は化粧品部門に配属されて間もなく、リブランディングの必要性を訴え今日の製品ラインの土台を築いた。同氏は2000年、化粧品・フレグランス部門のゼネラル・マネジャー時代に、サプライ・チェーンの不要な部分を特定・排除し、後に消費者主導型のサプライ・ネットワークとして知られるようになるシステムの開発でも頭角を現した。このシステムはP&G社に莫大なコスト削減をもたらし、いまなお同社を支えるインフラのひとつとなっているという。

同じ記事では、Pritchard氏が癌に冒された同僚を足しげく見舞ったという逸話も紹介されている。非常にクリエイティブで、人を大事にし、頭の回転の早い理想のマネジメントというのが、P&Gの社員に取材したMediaweekの人物評だ。

一方、Advertising AgeはStengel氏の退任を、ここ数カ月進められてきたP&Gのトップ・マネジメント交代人事のひとつと位置付けている。同社では最近、チーフ・テクノロジー・オフィサー、人事部門のトップ、チーフ・デザイン・オフィサーなどの交代が発表されてきた。

Advertising Ageの記事によると、新ポジションへの就任が発表されるまで2年間にわたり、戦略、生産性、業績拡大の担当プレジデントを務めていたPritchard氏は、社の組織の合理化―特に米国外の各地域とグローバルな組織の間の重複解消に辣腕をふるった。その一環として、一部の機能が米国本社に戻され、それが本社役員クラスの序列変更にもつながったらしい。

それ以前、Pritchard氏は、P&Gの製品群の中でもっとも競争の厳しい化粧品とヘアカラー部門の責任者を務めていた。同社では責任者が退任した後の業績も評価につながるらしいが、この両部門の製品が最大のライバルであるL’Oreal社を制してシェアを拡大したことも、Pritchard氏が株を上げる一因になったとのことだ。Advertising Ageは、Pritchard氏と10月で退任するStengel氏や歴代のマーケティング責任者との違いを、キャリアのスタートがブランド・マネジメントではなく、財務部門に6年間、籍を置いていたことだと強調している。

◆情報ソース
All About P&G's New Global Marketing Officer (Mediaweek)
P&G Global Marketing Chief Stengel to Step Down (Advertising Age)



誌面改訂に乗り出す不振雑誌

米国のニュース誌が苦戦していると4月18日のエントリーで書いたが、中でも落ち込みの激しいU.S. News & World Reportが、全面的な改装(redesign)に乗り出した。

リデザインは、ロゴデザインやタイプフェイスの変更のみならず編集方針にまで及ぶ。同誌はすでに、来年から週刊誌ではなく隔週刊誌になると発表しているが、編集方針も「前週の出来事の全貌と分析をかみ砕いて伝える」ことから、「ニュースが読者の生活にどのように影響するかを伝えるパーソナルガイド」へとシフトし、これまでのニューズ・ウイークリー的な役割はウエブサイトにゆずるという。同誌のウエブサイトは現在、月間500万のユニーク・ビジターを集めている。

PIB (Publishers Information Bureau)の統計によると、U.S.News誌の今年6月の広告集稿は、ページ数で昨年同月比30%以上の落ち込みを記録した。同様に、Newsweekは22.4%減、TIMEは21.1%減となっている。

ニュース誌と同じく苦戦している音楽誌のひとつ、Rolling Stoneは、判型や綴じ方を変えた「テスト・イシュー」を一部の予約購読者に送り、オンライン調査で意見を求めている。

Rolling Stone test issue


このテスト・イシューは、発売中の号と同じバラク・オバマの写真を表紙に掲げているが、いまの号よりも小さく、光沢のある紙を採用し、これまでのようなカジュアルな雰囲気の中綴じではなく平綴じ製本になっている。平綴じなので本棚に並べることができ、背の部分には発行日、号数と主な記事(BARACK OBAMA/BONNAROO/ AMY WINEHOUSE / RUSH / GREENLAND)が印刷されている。記事ページは、発売中の号と同じ記事を「詰め込んだ」感じのレイアウトになっており、厚みがある。このニュースを伝えるNew York Observer誌によると、Rolling Stoneらしい香りを失っているとのこと。

同じニュースを伝えているMediaweekによると、テスト・イシューは読者だけではなく、広告主やニューススタンドの店主にも送られているらしい。また、編集長兼発行人のJann Wenner氏がテスト版でリデザインを検討するのは初めてではなく、2001年と1年前にも同様の試みをし、2001年のテストでは広告のバイヤーから、広告主にとって他の雑誌との差別化がしにくくなるとのネガティブな反応があったため、改装を見送ったとのこと。

◆情報ソース
ニュース誌がまた基礎部数をカット (A BUG IN YOUR EAR)
「ビジネス」「車」「音楽」の雑誌が大苦戦(A BUG IN YOUR EAR)
U.S. News No Longer a Newsweekly (FOLIO)
U.S. News Unveils Redesign (FOLIO)
Mulling Major Redesign, Rolling Stone Asks Readers for Opinions (New York Observer)
Acid Test: Rolling Stone Looking at Possible Smaller, Glossier Version (Mediaweek)



ニューヨークのライバル紙どうしが提携

ニューヨーク・ポスト(New York Post)を発行するニューズ・コーポレーション(News Corporation)のオーナー、ルパート・マードック(Rupert Murdoch)と、ニューヨーク・デイリー・ニュース(New York Daily News)の発行人、モーティマー・ズッカーマン(Mortimer Zuckerman)。ライバル同士のこの二人が、こともあろうに提携のための話し合いを進めていると、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)がすっぱ抜いた。

この二者はともに、80億ドル以上の負債を抱えるトリビューン社(Tribune Company)が売りに出していたニューズデイ紙(Newsday)の買収合戦に参加。同紙は結局、両者を上回る6億5000万ドルを提示したケーブルビジョン・システムズ社(Cablevision Systems Corporation)の手に落ちたのだが、その直後の5月に、提携の話し合いは始まったという。

話し合いの中身は、コストを削減するために印刷、流通、宅配などのバック・オフィス機能を統合することで、それ以外の部分は独立性を保つとのこと。ニューヨーク・ポストは推定年間5000万ドルの損失を計上しており、マードック氏はこの損失を解消するためにニューズデイ紙とのジョイント・ベンチャーを実現させたかったのだが、それが叶わなくなったためにライバルとの協力に踏み出したらしい。デイリー・ニュースにしても収支がトントンの状態だから、提携話を進めて黒字に転換したいところなのだろう。

話は変わって、ニューズデイを売却したトリビューン社ではごたごたが続いている。同社が発行するロサンゼルス・タイムズ紙(Los Angeles Times)のCEO兼発行人、デイビッド・ヒラー(David Hiller)氏と編集部門の確執については6月11日のエントリーで触れた。彼は最近も、250名の人員削減(うち150名は編集部門)を発表したばかりだったが、その当人が辞めさせられることになったという。退任の理由は明らかにされていないが、上のエントリーで紹介した行いでトリビューン社のイメージを損ねたからではないかと、MediaPostは書いている。

◆情報ソース
The Daily News and The Post Talk Business (New York Times)
Final Edition: 'Chicago Tribune' Editor, 'LAT' Publisher Resign (MediaPost)
大変革に直面するロサンゼルス・タイムズ (A BUG IN YOUR EAR)



次のページ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。