New York Times社が発表した7月の業績によると、同社のニュース・メディア・グループの広告売上は前年同月比17.9%減だった(同社のプレスリリースでは、その主な原因は印刷版の広告の落ち込みであると説明されている)。それよりも同社にとってショッキングだったのは、インターネット広告売上の成長率が1%に満たなかったことだ。
St. Louis Post-Dispatchなど、米中西部を対象とした新聞を発行するLee Enterprisesは、今年4-6月期のオンライン広告売上が前年同期比で9.1%減少した。同社はその要因を、主要カテゴリーで紙(印刷版)とオンライン両方の広告出稿額が落ち込んだためと分析している。
Tribune Co.は、4-6月期のオンライン広告売上が前年同期比4%減だった。同社の経営陣によると、Los Angeles Times、South Florida Sun-Sentinel、Orlando Sentinelといった同社の新聞が、カリフォルニア・フロリダ両州の景気の悪化と、自動車および不動産分野の広告減の影響を受けているためだという。
米Amazonが愛書家のためのソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)のShelfariを買収すると、Seattle Post Intelligencerが報じている。また、Shelfariはユーザー向けのブログで、買収を発表している。
Shelfariはシアトルに本拠を置くスタートアップ企業で、同社のSNSでは仮想の本棚を作り、読んだ本やその感想を知人と共有することができる。上記のShelfariのブログによると、Amazonはすでに長期間にわたり同社をサポートしてきている。また、Seattle Post Intelligencerによると2007年2月にAmazonが資金的な援助を行い、同社の一部を所有していたという。
Amazonは上記の買収を通じて、自費出版物まで扱い品目に加え、オンデマンド印刷企業を傘下に収めることにより少部数の書籍も在庫コストを最小に抑えながら販売できる態勢を整えた。また、電子書籍やオーディオブックの開発元およびPOD(point on distribution)としてのキープレーヤーにもなりつつある。つまり、出版にかかわるあらゆるサービスを提供し、売れ行き情報などを一手に握る一大帝国を築きつつある。出版社側から見ればAmazonは、パートナーシップを結べば低リスクで自社の多くの資産をビジネスに結び付けることができる相手となりつつあるのだが…。
QSPもsubscription agentのひとつだ。この企業は1963年に、Time Inc.とReader’s Digestの出資により設立され、1970年にReader’s Digest Association (RDA)がTime Inc.から株式を買い取り完全子会社化した。QSPの特長は、定期購読エージェントビジネスを通じて学校や地域コミュニティなどの基金獲得を行っている点だ。学校の生徒や非営利法人の職員は雑誌の定期購読を売って基金にあて、出版社との仲介をするQSPはその一部をコミッションとして得る。このように社会貢献の一面もあるため、ほとんどの出版社が同社と契約している。
そのQSPを、もともとの親会社であるTime Inc.がRDAから1億1千万ドルで買収することになった。Time Inc.はすでに、定期購読販促会社のSynapse Groupや日本の取次にあたるTime Distribution Servicesをグループ企業として抱え、新しい雑誌定期購読サイトMaghound.comの開設を9月に予定しているが、これらの事業との統合は予定されていない。こうしてみると、Time Inc.は自社ばかりでなく、出版社横断的な雑誌定期購読の仲介や販売促進を事業の柱の一つと位置付けているようだ。この背景には、書店やニューススタンドでの雑誌販売の落ち込みがある。出版業界向けのニュースレターを発行するCircMattersが ABCのデータを分析した結果によると、今年上半期の書店の雑誌販売は、昨年同期比でマイナス6.4%だった。
定期購読へのテコ入れ以外にも、出版業界は書店実売の落ち込みを補うために涙ぐましい努力をしている。雑誌『Life & Style』の元編集者、Mark Pasetskyが立ち上げたサイト、CoverAwards.comでは雑誌の最新号の表紙が紹介されているが、そこには “Click here to buy it now!”の一文があり、Universal Newsの雑誌販売サイトにリンクしている。
Mark Pasetskyは独立後、Mark Allen & Co.という会社を設立。雑誌のカバーテストなどを行うメディア・コンサルティングを業務としている。彼のサイトが雑誌の売れ行きにどれほど寄与できるのかは疑問だが、出版業界が先行きに大きな危機感を抱いているのは間違いない。
広告ネットワークやアド・エクスチェンジ(広告主が、個人サイトを含めたオンライン・メディアの広告枠に対して入札して出稿するオンライン広告取引システム)事業者との取引に危機感を覚え、契約を打ち切る媒体社は増えている。Martha Stewart Living OmnimediaのCEO、Wenda Millardは、今年2月に行ったスピーチで、「広告枠を豚バラ肉のように売るべきではない」と訴え、他の出版社も外部に広告のコントロールを任せることの危険性を認識するよう呼びかけた。
Martha Stewart Living Omnimediaは外部のネットワークに頼るのではなく、昨年11月、自社サイトを中心にライフスタイル分野に絞った広告ネットワークMartha’s Circleを立ち上げた。現在、このネットワークにはおよそ35のサイトやブログが連なっている。Hearstも自社の20ほどのサイト群を「Portfolio of Experts」と名付け、広告ネットワークとしてアピールしている。経済誌『Forbes』のデジタル部門Forbes Digitalも昨秋、同社が選別したRealClearPolitics.comやInvestopediaなどのサイトを束ねる広告ネットワークを立ち上げた。
Conde Nast社はあくまでも自社運営にこだわる。同社のオンライン部門、CondeNetは、広告ネットワークに対抗して営業チームの再編に着手した。これまで営業チームは、Style.com、Epicurious、雑誌サイトなどのプロパティによってグループ分けされていたが、今後はコンテンツのカテゴリーによってグループ分けされ、プロパティを横断して営業活動を行うという。同社のサイトのひとつ、Epicuriousは6月に190万近いユニークビジター数を記録した(出所はComScore Media Metrix)。他のサイト、Conciergeの6月のビジター数で622,000、Style.comは413,000、Men.Styule.comは331,000だった。今回の組織再編によって、広告主はCondeNetの一人の担当者とコンタクトするだけでこれら複数のサイトを横断して広告を出稿することができる。