A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2009年03月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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広告コンセプトと連動したカスタマイズド・マガジン

前回のエントリーでメディアニュース社がカスタマイズした新聞の試験発行を計画していると紹介したが、今度はその雑誌版のお話。

mine, customized magazine


タイム社(Time Inc.)とアメリカン・エクスプレス・パブリッシング(American Express Publishing)は、読者によって内容の異なるカスタマイズド・マガジンの発行を行う。雑誌のタイトルは “mine”で、売り文句は “My magazine, My way”。無料で購読できるが、申し込み順でプリント版は31,000名、デジタル版は200,000名に限定で提供される。

希望者は、 “mine”のホームページで、TIME、Sports Illustrated、Food & Wine、Real Simple、Money、In Style、Golf、Travel + Leisureの中から5つの雑誌を選択する(雑誌の組み合わせの数は、全部で56通りになる)。これらの雑誌の中から “mine”に転載される記事は編集者が選び、読者は指定することができない。第1号は4月に発行予定で、その後は2週間に1号の割合で、10週間にわたり購読できる。プリント版を希望した人向けには自宅に配送され、デジタル版はプリント版と同じフォーマットでページをめくることのできる、バーチャル・マガジンの形で読むことになる。

“mine”の広告主は、Luxusのスポーツ・ユーティリティ車、Lexus 2010 RX。このRXシリーズのセールス・ポイントも「カスタマイズ」にあり、22通りのセッティングと8通りのディーラー・オプションが用意されている。 “mine”には毎号、計4ページの2010 RXの広告が掲載されるが、読者が購読申込時に用意されたアンケートに答えると、広告内容もカスタマイズされたものになる。

◆情報ソース
Lexus Drives 'Mine," Time's New Customized Mag (MediaPost)
Time Inc. tests custom magazine (Boston Globe)
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メディア企業のCRMへの取り組み

読者(オーディエンス)と広告の減少に直面したメディア企業が注目しているのが、ディズニーが先週から開始したようなCRM(Customer Relationship Program: 顧客との関係の管理)プログラムだ。

ほとんどの新聞社、雑誌社その他のメディア企業はすでに、購読者向けのマーケティング・プログラムを実施しているし、多くのエンタテインメント企業もロイヤリティ・プログラムを導入しているが、最近の傾向で目新しいのが、企業が保有するコンテンツの見直しを行い、それらをロイヤル・カスタマーに最大の価値を提供するためにいかに組み合わせればよいかを明らかにしようとしている点だ。

「新聞、雑誌、その他のメディア企業は、どのコンテンツを残すかを考え始めるべきだ。デジタル・コンテンツの購読契約をし、ブランドの一員になるよう呼びかけることにより、企業は顧客の契約者としての意識を深めることができる。それが、メディア企業がすでに持っている広告プラットフォームに代わる、マーケティング・プラットフォームとなる」と、顧客のロイヤリティ向上サービスを提供するLoyalty Labのシニア・バイス・プレジデント、デビッド・ローゼン(David Rosen)氏は言う。

マーケティング・プラットフォームを持つことにより、メディア企業は広告主が、正しいタイミングでターゲットとする顧客にコンタクトする手助けができるようになる。それこそが、広告主が対価の支払いを認めるものだと、ローゼン氏は言う。

Disney D23 image

ディズニーが先週発表した、D23と名付けられた会員向けプログラムは、同社初のディズニー・ファンのためのオフィシャル・コミュニティだ。D23という名称は、ウォルト・ディズニーが映画会社を創業したのが1923年だったことに由来する。このプログラムでは74.99ドルの年会費を支払うと、新しく創刊された季刊の会員誌『Twenty-three』の購読、スペシャル・イベントへの参加、会員限定グッズの購入、会員限定のコンテンツへのアクセスができるほか、会員証も発行される。

タイム社(Time Inc.)も、すでに実施している購読者向けのマーケティング・プログラムに加えて、年内に様々なロイヤリティ・マーケティングのモデルを試験導入する。

「これまで雑誌社は定期購読者向けの割引に力を入れてきたが、売上を保持し事業を存続するためには、顧客が喜んで対価を払うような商品を提供しなくてはならない」と、同社のサブスクリプション・マーケティング担当バイス・プレジデントのサラ・ジャック(Sarah Jack)氏は言う。

その結果、同社は定期購読を継続してもらうための施策や、読者に関する定期的な調査に加えて、同社の資産を活用してどんな価値を読者に提供できるのかを明らかにしようとしている。その中には、ウエブサイト上で定期購読者専用のページを設けたり、専用のニュースレターを送信したりするプログラムも含まれている。

「メディア企業は、CRMのコンセプトを導入し、顧客にとっての価値とは何かを明らかにする方向に、大きく舵を切った」とマーケティング・サービス企業Quaeroのシニア・バイス・プレジデント、ジュリー・フィリップス・ベーカー(Julie Phil­lips Baker)氏は言う。

特定のプロフィールを持つ顧客をターゲットにすることが可能になれば、広告単価を引き上げることができると、メディア企業が認識するようになったことで、こうした流れにはさらに拍車がかかっている。「大企業ほど、このような顧客に関する情報を求めている」とベーカー氏は指摘する。

しかし、旧来型のメディア企業は、雑誌や新聞のウエブ版の読者のデータを明らかにすることに、あまり前向きではない。「この手のCRMプログラムを実施できるのはほんの一握りのメディア企業だけで、他の企業はようやく顧客データの収集をはじめた段階だ」とベーカー氏。

例えばESPNはQuaero社と共同で、自社チャンネルを観るスポーツファンのデータから5類型のカスタマープロフィールを割り出した。同社は昨年5月、このプロフィールを広告主向けに公表した。さらに最近、自社のマーケティング活動にもこのプロフィールを利用し始めた。

10種類の日刊紙を発行するトリビューン社(Tribune Company)は昨秋、プレプリント・オプチマイゼーション(PrePrint Optimization)というプログラムをスタートさせた。このプログラムは広告主のデータと購読者のデータを組み合わせ、広告主がいつ、どのようにターゲットとする消費者に到達できるかを明らかにするものだ。

また、米国第4の新聞チェーンであるメディアニュース・グループ(MediaNews Group)は先ごろ、個人向けにカスタマイズした新聞(紙版とデジタル版の両方)の発行を開始し、広告も特定のターゲットに向けたものを掲載すると発表した。この新聞は”I-News”または”Individuated News”と名づけられ、購読者は広範なカテゴリーの中から自分の読みたいものを選ぶ仕組みになっている。今年夏から同社の『ロサンゼルス・デイリー・ニュース』でテスト版が発行される。

こうした試みに対しては、ウエブ上で否定的な意見も表明されている。例えば、”I-News”のアイデアに対しては、読者は記事を見て初めて自分の読みたい内容を認識するのであって、あらかじめカテゴリーを指定させる試みはうまくいかないだろうという声もある。もちろん、最初からすべてうまくいけばテスト版など必要ないわけで、当面は試行錯誤の繰り返しになるだろう。先に取り上げたマイクロペイメントもそうだが、デジタル技術をうまく取り入れた新たな試みに注目していきたい。

◆情報ソース
Media turn to CRM to cut losses (DMNews)
MediaNews Posits A Custom-Made Newspaper (MediaPost)

メディア利用状況調査―ウエブサイトがニュース・ソースの主流に

米PR会社ローゼン・グループ(Rosen Group)は、人々がメディアをどのように利用し、その現状・将来をどのように見ているかを調べた。この調査によると、回答者の80%近くがいまでも雑誌を定期購読しており、83%が日刊新聞は存在意義があると考えている一方、新聞と雑誌が10年後も存在すると考えている人は半数以下の45%で、40%はどうなるかわからないと回答した。

同調査は今年2月18~23日に、12~75歳の男女を対象にオンラインで行われたもので、サンプル数は316。

「どこでニュースを手に入れるか」との設問(複数回答)で、もっとも多くの人が選んだのは「CNN.comやFoxNews.comなどのニュース専門サイト」(65.3%)で、2位は「オンライン版の新聞」(56.7%)、3位は僅差で「印刷版の新聞」(55.4%)だった。

また、エンターテインメント情報、アドバイス、ライフスタイル関連の情報が得られる第一のメディアとして選ばれたのは、雑誌の印刷版が1位(27.0%)、ウエブサイトが2位(25.2%)、ブログが3位(10.9%)だった。

その他の調査結果は以下のとおり。
■欠かすことのできないニュース・ソースとしてもっとも多くの人が選んだのはニュース専門サイト(29%)で、プリント版の新聞は18%、オンライン版の新聞は16%だった。
■一方、日刊新聞に目を通すと答えた人は55%で、53%が新聞を定期購読している。
■週刊ニュース誌は存在意義があると答えた人は65%だった。
■ブログを読む回数を訊ねたところ、一日に複数回と答えた人が29%、週に1回と答えた人は8%、たまにと答えた人は37%、読まないと答えた人も37%だった。
■全回答者の60%が、ブログに書かれている情報は信用できないと答えた。

ニュース・ソースとしてはウエブサイトが完全に定着しつつあるようだ。一方、娯楽・ライフスタイルの参考とする情報源として、雑誌(印刷版)がもっとも支持されている点も興味深い。年齢層別の集計結果も見たいところだが、それにはサンプル数が少なすぎる。

◆情報ソース
Print Media Still Viable Entertainment Source (Marketing Charts)
Rosen Groupのリリース

Googleが行動分析型ターゲティング広告を開始

米国時間の昨日(11日)、Googleはインターネット・ユーザーの関心事に基づくターゲティング広告のテストを開始すると発表した。インターネット・ユーザーがどのようなサイトを閲覧したかを追跡して広告を表示する、いわゆる行動分析型ターゲティング広告だ。例えば、あるユーザーがNYTimes.comでスポーツ記事を読み、CBSSports.comも訪れている場合、そのユーザーは「スポーツ」のカテゴリーに分類され、スポーツへの関心が高い人をターゲットとするスポンサーの広告が表示される。ターゲット広告は、テキスト広告またはディスプレイ広告のいずれかで、AdSenseのパートナーサイトおよびYouTubeで掲載される。

ここで懸念されるのが、ユーザーのプライバシーの問題だ。Googleによると、ユーザーは自分がどのカテゴリーにリストされているかを確認し、そのリストから除外するようリクエストすることもできる。また、ブラウザーのプラグインを使って、広告プログラムからオプトアウトすることも、あるいは自分の興味のある広告のみを表示させることもできるという。しかし、非営利組織U.S. Public Interest Research GroupのAmina Fazlullar氏は、こうした機能を使えるのはインターネットの仕組みに明るく、プライバシー意識の高いユーザーだけではないかと主張している。「ネット上の行動を追跡され、広告を表示されても平気かと聞かれれば、たいていの人はNoと答えるはず」とFazlullar氏はいう。

バースト・メディア(Burst Media)が昨年12月、18歳以上の米国民4000名以上を対象に行った調査によると、回答者の62.5%は、自分たちがウエブサイトを訪問する際、その行動は追跡されていると思っているという。ところが、18~24歳の若年層にかぎると、行動が追跡されていると思う人の割合は47.8%に下がった。また、自分の関心事にそった広告が表示されるのであれば、個人を識別できる情報でなければ収集されてもかまわないと答えた人は、全回答者の23.2%だった。

◆情報ソース
Google Turns to Behavioral Targeting to Beef up Display Biz (Advertising Age)
Google Takes Mystery Out Of BT, Gives Consumers A Say In What They See (MediaPost)
3 in 5 Web Users Think Sites Track Their Behavior (Marketing VOX)

旧来型のブランディングは破たんしている

ブランディング・コンサルティング会社Verse Groupと調査会社Jupiter Researchは、年間売上2億5千万ドル以上の米国企業のCMO(Corporate Marketing Officer)をはじめとするマーケティング意思決定者(マーケティング担当バイス・プレジデント、マーケティング・ディレクター、マーケティング・マネジャー)101名を対象に調査を行った。その結果、回答者の87%は、ブランディング活動はこれまでよりもフレキシブルに行う必要があると考え、63%は旧来型のブランド・ポジショニングや広告は効果が低下しており「破たんしている」と判断していることがわかった。

その他のおもな調査結果は以下のとおり。

 回答者の62%は、旧来型の広告は新規顧客を獲得する上で、もはや以前ほどの効果がなくなっていると考えている。
 62%は、ブランド・ポジショニングよりも効果的な、画期的な方法を模索している。
 89%は、マーケティング活動は今日、これまでよりも厳密な査定の対象になっていると回答した。

また、2009年の優先事項としては、以下の項目が挙げられた。
1. 担当するマーケティング活動において、一定の計測可能なROI(対投資効果)を達成すること(50%)
2. オンラインと旧来型メディアを組み合わせたマーケティング計画の策定(43%)
3. 様々な消費者タッチポイント(ブランドと接する場)に応じたブランド経験の提供(32%)
4. 達成する目標は下げずにマーケティング予算を縮小すること(31%)
5. ブランド・ポートフォリオの最適化(26%)

さらに、以上の調査を通じて、1) 経営陣からのアカウンタビリティ(説明責任)の要請が高まり、マーケティング責任者は自分たちの活動の対投資効果を証明する、より大きなプレッシャーにさらされていること、2) 使用媒体のオンラインへのシフトが進むにつれ、多くのプラットフォームやタッチポイントで統一されたブランド経験を構築できるような、より優れたマルチ・プラットフォーム型のブランド管理が必要になっていることがわかった。

この調査は2008年11月1~10日の間、オンラインで行われた。対象となったのはB2B、B2C両方の様々な分野の企業で、72%は年間売上が10億ドルを超える大企業だった。

◆情報ソース
CMO Survey: Traditional Branding is ‘Broken’ (Marketing Charts)
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