A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2009年06月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

メンズ・ヘルス誌のiPhoneアプリ

当たり前の話だが、出版社はコンテンツの宝庫だ。しかし、その価値ある資源をうまく再利用して収益を上げている出版社は少ない。米ロデール社(Rodale)の男性向け健康情報誌『メンズ・ヘルス』(Men’s Health)が発表したiPhone向け有料アプリは、その良いサンプルになりそうだ。

Men's Health iPhone apps

このアプリ“Men’s Health WORKOUTS”には、18のワークアウトと125以上のエクササイズが、写真とインストラクションつきで収められており、利用者は自分の進歩の度合を記録することもできる。価格は1.99ドル(およそ190円)。さらに、利用者は追加のワークアウトが収められた拡張版を99セントで購入することもできる。Appleの取り分は、オリジナル版、拡張版ともに30%。(※拡張版の購入が可能なのは、Appleが構築した新たな決済システム「アプリ内課金」(in-app purchase)機能を備えたiPhone OS 3.0搭載機のみ。「アプリ内課金」により、利用者は購入したアプリの内部から追加コンテンツを購入して、機能を拡張できるようになった。課金業務はAppleが行い、利用者のiTunesアカウントで決済される。)

このビジネス・モデルが期待を抱かせるのは、コンテンツの追加販売ができる点だ。“Men’s Health WORKOUTS”を購入した人は、ダイエット情報も購入するかもしれないし、あるいはグルーミングやファッションの情報にも関心を示すかもしれない。ロデール社では近々、女性向け健康情報誌『ウイメンズ・ヘルス』(Women’s Health)を元にしたアプリも発売する予定だという。

出版社によるiPhoneアプリというと、すでにコンデナスト社(Conde Nast)が女性誌『ラッキー』(Lucky)のコンテンツを元に、靴やバッグのショッピングガイドを提供している。例えば靴の場合は、『ラッキー』3月号のシューズガイドに掲載された70以上の商品を、タイプ、ブランド、色、サイズなどで検索することができ、さらにGPS機能やZIPコードでお目当ての商品を販売している最寄りのショップを割り出すこともできる。ただし、このアプリは無料で提供されており、広告主サービス(広告売上を拡大するための方策)の色彩が強い。

◆情報ソース
Has Men's Health Found a New Digital Distribution Channel? (Advertising Age)
Lucky Magazine’s iPhone Tool Is All About Shopping (The New York Times)
スポンサーサイト

米MRIが雑誌広告の効果を数値化

米国の調査会社MRI(Mediamark Research & Intelligence)が業界で初めて、雑誌広告を対象とした露出状況計測サービス「AdMeasure」を開始すると発表した。このサービスを使えばインターネット広告と同様に、雑誌に掲載された個々の広告がどの程度見られたかを数値化することができるばかりでなく、見た人がどのような行動を取ったかも知ることができる。

「雑誌広告の露出状況を知るにはこれまで、一冊の雑誌全体の閲読状況を目安とする以外なかったが、アカウンタビリティ(説明責任)を重視する広告主は、自社の広告の効果を知る直接的な計測方法を必要としている。AdMeasureによって、効果測定の対象を“広告を見てもらえる機会がどの程度あるか”から、“個々の広告が実際にどれだけ多くの人に見られたか”、“見た結果、どれだけ多くの読者がどのような行動を取ったか”に移行できる」とMRIのCEO・社長のKathi Love氏は説明している。

AdMeasureの数値は、MRIがすでに実施している全米消費者調査(Survey of the American Consumer)から得られる雑誌1号あたりの平均読者数、Issue Specific Readership Surveyから得られる各号の閲読状況、およびMRI Starchから得られる広告効果調査(雑誌広告の想起率、広告を見た結果ブランド認知がどのように変わったか、購買行動には結び付いたか等)をもとに割り出される。対象となるのは、全米で出版されている646の一般誌に掲載される1/3ページ以上のスペースの広告。すでに、出版社のタイム(Time Inc.)とメディアエージェンシーのスターコム(Starcom USA)が同サービスの購入を申し込んだとのこと。

雑誌は情報開示や広告の効果測定では出遅れており、それがインターネット広告に予算を奪われる一因にもなってきた。そのため、AdMeasureのようなサービスを求める声は、広告主ばかりでなく雑誌業界からもあげられていた。完璧な調査などないし、MRIのデータにしても問題点を指摘する人もいるのだが、雑誌広告の環境整備に向けて一歩前進であることは確かだろう。

◆情報ソース/参考情報
MRI Launches Ad Effectiveness Ratings (MediaPost)
Mediamark Research & Intelligence Debuts Magazine Advertising Ratings (Media Industry Today)
米雑誌読者属性調査:MRIをめぐる一喜一憂

米広告主協会調査:ブランド構築の傾向は?

米広告主協会(ANA: The Association of National Advertisers)が、会員社を対象にブランド構築に関する調査を行った。フィールドワークはマーケティング・サービスのmktg社に委託して今年4月、同協会のブランド・マーケター・リーダーシップ・コミュニティのメンバーを対象にオンライン調査を実施、129社のマーケティング責任者が回答した。

この調査によると、最近6ヶ月間の傾向として回答者のおよそ3分の2は、いまの経済情勢に対応するため、経費節減など短期的戦略に重点をおいていると答えているが、不況を脱し景気が上向いてきた場合の見通しをたずねると、以下のような結果が得られた。
▶ 媒体予算を増やす 68%
▶ ソーシャル・ネットワークや口コミ(word-of-mouth)への取組みを増やす 41%
▶ 革新/テスト/研究のための予算を増やす 40%

ブランドの健全性(ブランド・エクイティの増減)を測るもっとも効果的な目安としては、「顧客の経験/満足度」を挙げる人が前回調査(2007年2月)の37%から48%に増える一方、これまで重視されてきたブランド・イメージや認知度を挙げる人は減少した。また、ブランド弱体化の兆候を見る手段としても、顧客のブランド転換/リピート率(70%→78%に増加)、ブランドを「優秀」と評価する顧客の割合(68%→77%に増加)など顧客関連の指標を挙げる人が前回調査より増え、顧客重視の傾向が顕著になった。

さて、肝心のメディア評価だが、ブランド・エクイティ構築に効果的なメディアとしてトップに挙げられたのはテレビだった。しかし、テレビを挙げた人の率は前回調査と比べると80%から64%に急減している。同様に、旧来メディアは以下のように軒並みスコアを落とした。

▶ 雑誌 67%→51%
▶ ラジオ 36%→30%
▶ 屋外広告 35%→26%
▶ 新聞 36%→19%

対して、オンラインは61%、ゲリラマーケティング/口コミ/バズマーケティングは57%と、評価する人が増えている。新聞は2年前にして既にかなりの低評価だが、いまや効果的なメディアとして挙げる人が5人に1人に満たないという凋落ぶりだ。

米国では新聞社の破産や不振を伝える報道が頻繁になされているから、心理的な影響もあるのだろう。また、この調査に答えた広告主の業種が明らかにされていないが、当然のことながら一般消費財と高級ファッションブランドとでは、回答に大きな差があるはずだ。したがって、この調査結果だけで大騒ぎするのは危険だが、全体としては新しいマーケティング手法に広告主の関心が向いているのは確かなようだ。

◆情報ソース
ANA Press Release

雑誌のデジタル版は部数対策のためのものか

雑誌のデジタル版(プリント版とほぼ同じレイアウトで、専用のアプリケーションを使ってPCなどの端末上でダウンロードして読めるもの)の購読数が、少しずつではあるが増えている。2007年の上半期には一般誌56誌で定期購読者の総計が50万に満たなかったのが、2008年末には、デジタル版を発行する雑誌も110に増え、購読者も100万人近くまでほぼ倍増したという。

雑誌発行部数の公査機関であるABC (Audit Bureau of Circulations)は昨年3月、部数査定のルールを変更し、もとの雑誌(プリント版)と体裁がほぼ同じものであればデジタル版もカウントするようになった(ウエブ上で公開されているコンテンツは対象にならない)。つまり、出版社はデジタル版の発行数も加えた数字を、雑誌の発行部数として発表できるようになった。これは、雑誌販売部数が減少傾向にある出版社にとっては朗報だ。

例えば、ハースト・マガジン(Hearst Magazine)社の発行する『コスモポリタン』(Cosmopolitan)は、デジタル版の発行部数(昨年下半期の平均)が99,012だった(そのほとんどは、スポンサー付きか、あるいは単に無料で読者に提供されている)。同誌のレートベース(保証部数)は290万部だが、ABCが認めた昨年下半期の発行部数は、この保証部数を26,683部上回っている。ということは、デジタル版を含めなければ、同誌はレートベースを72,329部割り込んでいたことになる。

広告会社やメディア・エージェンシーは、デジタル版を発行部数に含めること(=広告媒体としてカウントすること)に否定的だ。電通アメリカのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼メディア・ディレクターのスコット・デイリー(Scott Daly)氏は、「デジタル版には何の価値も認められない。デジタル版を発行部数に含めている雑誌は、その分、広告料金をディスカウントしてもらう」と述べている。

読者が求めているものへの答えとしてデジタル版を発行するのならわかるが、広告売上を損なわないためのその場しのぎの対策としてデジタル版読者の拡大を図っているのだとしたら、先行きは決して明るくないだろう。出版社の苦しい台所事情はわかるのだけど…。

◆情報ソース
Buyers Wary of Electronic Subs Counted Into Circ Stats (Mediaweek)

旧来型メディアは長い低迷期に?

米国の旧来型メディアの現況を。

新聞、雑誌、ラジオは、専門家や研究機関の予測を上回る落ち込みを見せている。米新聞協会(Newspaper Association of America)の統計によると、今年1-3月期の新聞の広告売上は、昨年同期に比べて92億ドルから66億ドルへ28.3%も下落した。投資銀行のバークレイズ・キャピタル(Barclay’s Capital)は昨年11月時点で、今年の新聞広告売上の下落率を通年で14%と予測し、それを翌12月に17%、今年2月に21%、4月に22%へと下方修正し続けてきたが、実際にはそれよりもさらに大きな落ち込みとなった。

同じく、今年1-3月期のラジオの広告売上は昨年同期比で45億ドルから34億ドルへ24%減少(ラジオ広告機構:Radio Advertising Bureau)。また、PIB (Publishers Information Bureau)の統計によると、雑誌の広告集稿ページ数は51,700ページから38,207ページへ、26%減少した。新聞の凋落ぶりばかりが騒がれているが、雑誌とラジオも相当に深刻だ。

これら3媒体の不調は、昨年のサブプライム・ショックで加速したのは確かだが、下のグラフで明らかなように2006年前後から始まっていた。いわゆる大恐慌の時期を除くと、新聞とラジオの売上が複数年連続で前年を下回るのは初めてのことだ。


Traditional media % change of ad revenue


これまでは、3媒体の売上はほぼ景気の変動に歩調を合わせて変化してきた。GDPが上昇傾向にある間は、その成長率を3媒体の広告売上が上回るのが常だった。しかし、2000-2001年の景気後退期以降、この図式があてはまらないことが多くなった。その大きな要因はインターネットだ。MediaPostは、3媒体の広告売上はこのまま長い低迷期に突入し、景気好転後も下落幅はゆるやかになるものの下降し続けるか、良くても低め安定から脱出することはできない可能性が高いと予測している。

◆情報ソース
News Analysis: Traditional Media Drops Exceed Expectations (MediaPost)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。