A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2009年08月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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銀行の傘下に米国最大の雑誌グループ

昨日のエントリーの続き。

リーダーズ・ダイジェスト・アソシエーション(Reader’s Digest Association)の連邦破産法11条の適用申請に伴い、債権と引き換えに同社の株式を得た債権者の筆頭がJPモルガン・チェースであることは昨日書いた。ニューヨーク・ポスト(New York Post)は、同銀行がこのほかにソース・インターリンク社(Source Interlink Cos.)と、アメリカン・メディア社(American Media Inc.)の支配権も握っており、会長兼最高経営責任者のジェームス・ダイモン(James Dimon)は思いがけず米国最大の雑誌帝国を支配するメディア王になったと報じている。

ソース・インターリンク社は大手取次会社であり、『モーター・トレンド』(Motor Trend)、『オートモービル』(Automobile)、『ホット・ロッド』(Hot Rod)など自動車、マリンスポーツ、乗馬など趣味の雑誌75誌を出版するソース・インターリンク・メディア(Source Interlink Media, LLC)を傘下にしている。同社は債権者グループとの交渉を経て今年4月、連邦破産法11条の適用を申請した。その交渉によって、同社のおよそ15億ドルの負債のうち10億ドルを株式に転換する合意がなされたが、そのうち9億ドルの債券を保有するのがシティグループ(Citigroup)とJPモルガン・チェースを中心とする銀行グループだった。この結果、JPモルガン・チェースはソース・インターリンクの株式の12%を保有することになった。

アメリカン・メディアは、スーパーのレジ横などでよく見かけるタブロイド判の週刊新聞『ナショナル・エンクワイアラー』(National Enquirer)のほか、セレブリティ誌の『スター』(Star)、フィットネス誌の『シェイプ』(Shape)などの16誌を発行する出版社だ。同社も出版のほかに取次事業も行っている。同社は負債総額10億7000万ドルのうち、およそ6億ドルの債権を保有する債権者グループと交渉を行い、その半分を帳消しにし、残り半分の支払期限を2013年まで引き延ばすことで連邦破産法の適用申請を免れた。債権者グループは引き換えに、同社が新たに発行する株式の95%を保有することでその経営権を手に入れることになった。JPモルガン・チェースは同社の株式を直接保有はしないが、債権者グループを束ねる幹事銀行として影響力を行使できる立場にある。

ニューヨーク・ポストによると、リーダーズ・ダイジェスト、ソース・インターリンク、アメリカン・メディアの3社の売上総額は50億4000万ドル(昨年の実績)にのぼり、米国最大の雑誌出版社タイム(Time Inc.)の460億ドルを上回ることになる。しかも3社は昨年、合計しておよそ4億7000万ドルの営業利益を計上したが、タイムは64億ドルの営業損失を出した。

さて、銀行の支配下に置かれた出版社はこれからどうなっていくのか。メディアを対象とする投資会社のある経営者はニューヨーク・ポストの取材に答えて、「銀行はメディアの経営を知らないし、彼らの関心は債権を回収することにしかないから、極めて保守的なことしかしないだろう」と予測する。しかし、他の専門家は「思い切ったリストラや利益重視の経営を求める可能性が高い。そうして、財務状態を改善した後は新たな経営者か投資ファンドに売却するのではないか」と答えている。

今日の出版社買収劇の震源地となったのは2007年に収束したLBOブームだ。それは投資家による出版社の買収を容易にしたばかりでなく、出版社自身もそのブームに踊らされた。ソース・インターリンクの財政が破たんするきっかけとなったのは、2007年5月のエンシュージアスト・メディア(Enthusiast Media)を12億ドルで買収した際に抱え込んだ莫大な負債である。気の毒なのはそうしたマネーゲームの中で小突きまわされる社員と読者だ。

◆情報ソース
PECKER FINALLY PULLS IT OUT (New York Post)
SOURCE TO FILE FOR CHAP. 11 (New York Post)
READ ALL ABOUT IT - JPMORGAN NOW NATION'S NO.1 PUBLISHER (New York Post)
HOW DOES DIMON PAY? - MIXED BAG FOR JPMORGAN CHASE'S MEDIA EXECS (New York Post)
Reader's Digest Bankruptcy Underscores Its Need to Remake Media Model (Advertising Age)
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リーダーズ・ダイジェストが経営破たん

米国の名門出版社リーダーズ・ダイジェスト・アソシエーション(Reader’s Digest Association)が今週月曜(8月24日)、連邦破産法11条の適用を申請し経営破たんした。同社はすでに17日、破産法の適用申請を明らかにし、22億ドルの債務のうち17億ドルを株式に転換して同社の所有権を債権者団体に移譲する方針を発表している。

リーダーズ・ダイジェストの経営危機は、だいぶ以前から囁かれていた。同社は今年1月、全従業員の8%にあたるおよそ300名のレイオフを実施。6月にはリーダーズ・ダイジェスト誌の発行部数を800万部から550万部に縮小し、発行回数も年間12回から10回に減らすと発表していた。

同社は2007年3月に、投資会社リップルウッド(Ripplewood)がLBO(レバレッジド・バイアウト)により28億ドルで買収、非上場化されていた。リップルウッドはその後、フェアチャイルド・パブリケーションズ(Fairchild Publications)の社長、コンデナスト(Condé Nast)のグループプレジデントを歴任した辣腕女性経営者、マリー・バーナー(Mary Berner)をCEOとして送り込んだ。バーナーCEOはおよそ200名の幹部社員の25%の首をすげかえ、コンデナスト時代の同僚であるエヴァ・ディリオン(Eva Dillion)をパブリッシャーに任命するなどの大改革を断行したが、販売・広告の不振に歯止めをかけることはできなかった。なお、今回の経営破たんによりリーダーズ・ダイジェストの支配権は債権者が握るため、リップルウッドの投資はすべて吹き飛ぶことになる。

リーダーズ・ダイジェスト誌は1922年の創刊。最盛期には毎月1,250万部を発行し、4,400万人もの読者を持つ米国最大の雑誌だった。海外でも21カ国語で出版されている。日本語版は終戦直後の1946年に創刊され、1986年まで発行されていた。

さて、巨額の債権と引き換えにリーダーズ・ダイジェストの支配権を得た債権者グループだが、その筆頭はJPモルガン・チェース(J.P. Morgan & Chase & Co.)だ。同社はリーダーズ・ダイジェストだけではなく他の出版社の支配権も握っており、会長兼最高経営責任者のジェームス・ダイモン(James Dimon)は、新たなメディア王と呼ばれている。このことについては明日、書くことにする。

◆情報ソース
Reader's Digest plans prearranged bankruptcy (Reuters)
Will Reader's Digest Survive Bankruptcy? (Forbes)

お詫び

多忙にまぎれてブログの更新がだいぶ長い間滞ってしまいました。その間、こまめに覗きに来てくださった皆様、お詫び申し上げます。また、病気でもしているのではないかとご心配いただいた皆様、ありがとうございます。またぼちぼちと書いていきますので、よろしくお付き合いください。

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