A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2011年01月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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広告のセレブリティ起用は予算の無駄遣い?

セレブリティを起用したテレビCMは、そうでないCMに比べて効果がないばかりか、逆効果になる場合さえあるという、有名タレントやスポーツ選手に大枚をはたいている広告主が聞いたら卒倒しそうな調査結果を米調査会社エース・メトリクス(Ace Metrix)が発表した。

“Celebrity Advertisements: Exposing a Myth of Advertising Effectiveness”という物騒なタイトルが付けられたこの調査は、昨年初めから11月まで、2,600以上のテレビ広告を対象に行われた。エース・メトリクス社の効果測定方法は、テレビ広告を “persuasion”(説得力:欲求喚起、妥当性、好感度、関心、情報価値、態度の変化の6つの要素からなる)と、 “watchability”(見る人を引き込む力を)の2面から評価し、その結果を数値化(Ace Scoreと呼んでいる)するもの。

同社が公表したAce Scoreを見ると、セレブリティを起用した広告の平均スコアは全広告の平均を1.4%下回り、逆にセレブリティを使わなかった広告の方がスコアで全広告の平均を8%上回っている。また、Ace Scoreが全広告の平均を10%以上上回ったセレブリティ広告は全体の12%に満たず、逆に全広告の平均を10%以上下回ったセレブリティ広告が20%近くあった。

セレブリティは神通力を失いつつある。その理由を、エース・マトリクス社のCEO、ピーター・ダボール(Peter DaBoll)氏は、消費者の急速な変化だと説明する。つまり、いまの消費者は遠い存在であるセレブリティよりもソーシャル・ネットワークのような身近なところにいる人の言葉に耳を傾け、例えセレブリティのお薦めでも押しつけられた製品には関心を示さず、自分の生活と結びつきが強く情報価値の高い広告だけを受け付ける傾向がある。そして、広告主は広告メッセージを伝える上でセレブリティがどのような価値をもたらしてくれるかを自問すべきで、セレブリティの起用を決めてから広告メッセージを吟味するのは順序が逆だという。

ちなみに、この調査でスコアがもっとも低かったのはタイガー・ウッズを起用したNIKEの広告で、平均を30%も下回った。

◆情報ソース
Study: Celebs (Except Oprah) Ineffective In Ads (MediaPost)
Celebrities in Advertising Are Almost Always a Big Waste of Money (Advertising Age)
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iPad版雑誌の販売数が急降下

2週間ほど前のニュースだが、iPad版電子雑誌の販売数が急降下していると、『ウーマンズ・ウエア・デイリー』(Women’s Wear Daily)がABC(Audit Bureau of Circulations)の数値をもとに報じた。この記事によると、『ワイアード』(Wired)のiPad版は6月の第一号こそ10万を超すダウンロードを記録したものの、7~9月発行号の平均は31,711に急落し、さらに10月は22,000、11月は23,000に減少した。他の雑誌も下記のように、程度の差はあるものの販売数を減らしている。

ヴァニティ・フェア(Vanity Fair) 10,500(8月~10月平均)⇒8,700(11月)
グラマー(Glamour) 4,301(9月)⇒2,775(11月)
メンズ・ヘルス(Men’s Health) 約2,800(春)⇒約2,000(9月・10月とも)

『GQ』は、落ち幅は小さいものの11月の販売数は11,000と4月の発行開始以来最低だった(5月~10月の平均は13,000)。MashableはiPad版雑誌の低迷の原因を次のように分析している。

1. 価格
iPad版雑誌の価格($4.99)が他のappに比べて割高である。紙版の雑誌の一部あたり年間予約購読料金の方がはるかに安い。
2. 露出不足
ストアで大量のappの中から特定の雑誌を見つけるのは至難の業だ。ブラウズをたやすくするために、出版社サイドがAppストア内にニューススタンドを模したiBooks appを設け、カバーや主なコンテンツを見やすく陳列する必要がある。
3. 目新しさがない
動く表紙やインタラクティブなグラフを体験できるiPad版の雑誌は、最初こそ新鮮な体験だったが、その後、これといった新機軸がなかったために飽きられてしまった。
4. データサイズが大きすぎる
『ワイアード』の第1号のデータ容量は500MB近かったし、週刊誌『ニューヨーカー』の第1号も173MBあった。

デジタル版の販売数を公表していない雑誌も数多くあるので、すべての雑誌が販売数を減らしているのかどうかはわからないが、iPad端末の販売台数が5月末から年末までの間に5倍以上に拡大したこととあわせて考えても、iPad版雑誌の販売は不調と言っていいだろう。出版社はiPadの人気に便乗しようと次々と電子雑誌の販売に踏み切ったが、app storeはいまのところ、出版社にとって魅力的な販売拠点とはなっていない。以前にも書いたようにアップルは、割引料金による雑誌の定期予約購読を行わず、読者データを出版社と共同保有することを認めていないため、ほとんどの出版社は単号売りしか行っていない。

そうこうするうちに、グーグルがAndroid OSのスマートフォンやタブレット端末のユーザー向けに、電子雑誌・新聞の販売サービスを立ち上げる準備をしているとの情報が入ってきた。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(The Wall Street Journal)によると、グーグルはすでにタイム(Time Inc.)、コンデナスト(Condé Nast)、ハースト(Hearst)などの大手出版社との交渉を行い、アップルよりも好条件を提示しているらしい。また、同じ記事によると、アップルもiTunesでの雑誌定期購読の販売、および読者データの出版社との共同保有に向けて動いているとのこと。

アップルとグーグルの競争は出版社にとって歓迎すべきことにちがいない。しかし、Android端末だろうがiPadだろうが、紙で魅力を感じさせない記事は、デジタル版で多少の機能を付加したところで読者の心をつかむことはできないだろう。

◆情報ソース
Memo Pad: iPad Magazine Sales Drop (WWD)
Why iPad Magazine Sales Are Not As Bad As They Seem (Mashable)
Google Digital Newsstand Aims to Muscle In on Apple (The Wall Street Journal)

ラガルデール雑誌部門売却交渉は大詰めに

仏ラガルデール社(Lagardère SCA)の海外雑誌部門売却交渉が大詰めを迎えている。売却先を米ハースト(Hearst Corp.)一社に絞り、1月30日を期限に条件を詰めていることを両社が認めた。

ハースト社のデイビッド・ケイリー(David Carey)社長は1月3日に従業員向けに出したアナウンスメントで、ラガルデールのフランスを除く全世界102の雑誌と50のウエブサイトを買収する独占的交渉を行っていると明言し、「それは我々が、いかに雑誌メディア(印刷メディアだけではなく将来の様々な形態も含む)とそのコンテンツの価値を信じているかの表れだ」と述べた。

アドバタイジング・エイジ誌(Advertising Age)はこの件に関して、ラガルデール傘下の出版社アシェット・フィリパッキ(Hachette Filipacchi)の元経営首脳ディディエ・ゲラン(Didier Guerin)に取材。買収が成立すればハーストは競争力を増し、コンデナスト(Conde Nast)にとって脅威となるだろうが、組織レベルでは社内に根付いたフランス流の企業文化をアメリカ流に転換していかなくてはならず、デリケートで複雑な作業になるだろうとの見方を紹介している。

◆情報ソース
Hearst, Lagardère Confirm Sales Talks (Mediaweek)
Buying Elle Would Help Hearst but Create Tensions Too (Advertising Age)

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