A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2011年06月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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デジタル化に向けて雑誌社の暗中模索は続く

今月初め、業界誌『アドバタイジング・エイジ』(Advertising Age)のウエブサイトに、雑誌(紙版)は広告媒体としての魅力を失いつつあるとの記事が掲載された。調査会社GfK MRIが毎年春と秋に実施している雑誌購読状況調査の結果に基づいた記事で、昨年・今年ともに調査対象になった有力一般誌188誌の読者プロフィールを比較すると、以下のような変化が見られるのだという。

●GfK MRIの調査対象年齢層の人口は全米では増加しているのに、188誌のうち65%は読者数が減少した。
●188誌のうち65%は、読者の中間年齢が全米平均よりも急速に高年齢化している。
●70%は世帯所得の下落幅が全米平均よりも大きい。

雑誌読者が減少しているとか高年齢化しているというデータには驚かないが、ちょっと気になったのは、全米雑誌協会(Magazine Publishers of America: MPA)が、こうした変化の原因を、紙からiPadのようなデジタル・プラットホームへの移行が進んでいるからと説明している点だ。MPAのニナ・リンク(Nina Link)会長によると、「これまでGfK MRIの調査対象にはデジタル版読者が含まれていなかった。デジタル版読者も対象となる秋の調査では、異なった結果になるはず」とのこと。

本当だろうか。米国でもデジタル版を販売している雑誌はまだ多くないし、タブレット端末などのデジタル・プラットホームで雑誌を読んでいる読者も少数派だと思われる。したがって、次回のGfK MRIの調査結果に変化が見られたとしてもわずかだろうし、その恩恵にあずかることができるのも一部の雑誌だけだろう。少なくとも、広告主を満足させる規模には達していない。上のMPA会長の言葉は、かなり苦しい弁明―というよりも、悲痛な願いに聞こえる。出版社は、プラットホームが紙であろうがデジタルであろうが、雑誌を広告媒体として少しでもアピールして広告主離れに歯止めをかけたいのだ。

そのためか、雑誌のデジタル化が始まった頃、出版社の多くは紙の雑誌の予約購読者への特典としてデジタルの記事を無料で提供していたが、最近は主従逆転現象が起こりつつあるようだ。

たとえば『ニューヨーカー(New Yorker)』は先月、オンライン版およびiPad版の予約購読を年間60ドルで発売したが、これにわずか1ドルを上乗せするだけで紙版もついてくる。『スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)』のウエブサイト上の予約購読のページを見ると、「All Access」と銘打って紙版とデジタル版のパッケージのみを、1年間56号分48ドルでオファーしている。(デジタル版はiPad、サムスンのGalaxyなどのタブレット型端末と各社のスマートフォンに対応している。)紙版だけの値段設定はなされていない。あるいは、コンデナスト社(Condé Nast)は、女性誌『グラマー(Glamour)』のiPad版の年間購読も、iPad版と紙版のセットも同じ20ドルで販売している。以前は紙版のみを年間10ドルで購読することができた。(それにしてもどの雑誌も安い。)

デジタル化戦略も試行錯誤が続いているようだ。例えばハースト社は来月から、『エスクワイア』(Esquire)、『ポピュラー・メカニクス』(Popular Mechanics)、『オプラ・マガジン』(O, The Oprah Magazine)の3誌のiPad版の予約購読をiTunesで販売開始すると発表したが、その一方で『マリ・クレール』(marie claire)については、ウエブサイトMarieClaire.comをiPad最適化し、自由にダウンロードできるようにするという、反アップル的な施策に打って出た。このブログでも何度か書いているようにアップル社の取引条件が出版社にとって不利なものであることに加えて、タブレット端末のアプリ利用者が思うように拡大していないからだ。フォレスター・リサーチ社(Forrester Research)の今年1-3月期の調査によると、タブレット端末ユーザーの45パーセントはアプリとインターネット・ブラウザに使う時間が半々、39パーセントはアプリよりもブラウザにより多くの時間を費やしていることがわかった。広告ビジネスだけを考えるなら、検索サイトなどを通じて多くのトラフィックを集めることができ、iPadアプリの販売では手に入らないユーザーデータも収集できるインターネットの方が格段に有利との判断なのだろう。

◆情報ソース
As Magazines' Print Demos Drift Wrong Way, Publishers Anticipate Tablet Metrics (Advertising Age)
Hearst, Apple Reach iPad Deal (Wall Street Journal)
Marie Claire's Anti-Apple Maneuver (Adweek)
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『GQ』が男性向けEコマースサイトと提携

米男性ファッション誌『GQ』は、ギルト・グループ(Gilt Groupe Inc.)が設立する男性向けECサイト「PARK & BOND」との提携を発表した。今夏、『GQ』のウエブサイト内に「PARK & BOND」のブティックを開設し、同誌に掲載された商品の中から編集者が選んだものを販売する。

ギルト・グループは招待性ファミリーセールサイトを運営する企業だが、「PARK & BOND」では基本的に定価で商品を販売するという。GQ内のブティックではAlexander McQueen、ETRO、Paul Smithなど80以上のメンズブランドを取り扱い、代金決済や商品発送は「PARK & BOND」が担当する。

これより早く、昨年11月には、大手百貨店チェーンのJCペニー(J.C. Penney)がハースト・マガジン(Hearst Magazine)と提携し、2つのEコマースサイト「CLAD」と「Gifting Grace」を立ち上げると発表した。この提携では、例えばハーストの男性誌『エスクワイア』(Esquire)の編集者が「CLAD」で販売する商品のキュレーターをつとめ、同誌のサイトともリンクするという。

販売・広告ビジネスで苦戦する雑誌の、マルチプラットフォーム化や異業種とのクロスプラットフォーム展開が進んでいる。

◆情報ソース
GQ GOES E-TAIL (WWD)

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