A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 2011年11月

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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雑誌『アトランティック』のデジタルとプリントの広告売上が逆転

このブログを始めたばかりの頃、150年の歴史を持つ米国の代表的なオピニオン誌『アトランティック』(The Atlantic)が新しいウエブ・ブランドをスタートさせるなど本格的にウエブ運営に取り組み始めたと、驚きをもって伝えた。あれから3年半、ついに同誌のデジタル広告の売上がプリントを追い抜いたと『ニューヨーク・タイムズ』(The New York Times)が報じている。とは言っても、10月単月の広告売上に占めるデジタルの割合が51%に達しただけなのだが、それにしてもウエブ広告でここまで成功している雑誌は極めて稀だ。

米国の雑誌広告は、今年初めこそ回復の兆候を見せたものの、後半に入って急失速した。メディア・インダストリー・ニュースレター(Media Industry Newsletter)の統計によると、10~12月の月刊誌の広告集稿ページ数は前年同期比で6.8%減、通年でも前年比2.6%減となる見通しだ。

しかし、『アトランティック』の場合は、プリント広告の売上が落込んだ結果としてデジタルの割合が高まったわけではない。それどころか同誌10月号は、実業家のデビッド・ブラッドレイ氏(David Bradley)によって買収された1999年以降で最高の広告売上を記録した。今年、同誌の年間広告売上は1,860万ドルに達する見通しだという。

だが『アトランティック』は、順調に業績を伸ばしてきたわけではない。ブラッドレイ氏による買収の年、同誌の発行元アトランティック・メディア・カンパニー(Atlantic Media Company)は450万ドルの赤字を計上、翌年以降も業績は悪化し続け2005年に赤字額は700万ドルに達した。その間、ブラッドレイ氏は売上を伸ばすために、広告営業とともにセールスに歩いたり、『アトランティック』の紙を高級紙に変えたり、定期購読料を値上げしたり、あるいは値下げしたり、涙ぐましい努力をしたがすべてが徒労に終わった。

転換点となったのは2006年、『ニューヨーク・タイムズ』からジェームス・ベネット氏(James Bennet)を編集長として迎え、翌年、『ザ・ウイーク』誌(The Week)の発行人だったジャスティン・スミス氏(Justin B. Smith)が社長に就任してからだ。彼らは、米国でもっとも歴史のある『アトランティック』を印刷媒体として考えるのをやめ、「ベンチャー・キャピタルから投資を受けたシリコン・ヴァレーのスタートアップ企業の心境になって、解体的出直しを図った」と、スミス氏は昨年末の『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューに答えて語っている。何をしたのか、調べてわかったことをざっくりとまとめてみた。

◆プリントとデジタルの組織的一体化
デジタルとプリントに分かれていた編集部内の垣根をなくした。また、広告営業もデジタルとプリント、それぞれをどれだけ売ろうと自由にした。

◆ウエブのトラフィックを増やすことに専念
デジタル広告を収入の柱とすることを明確にし、そのためにペイウォールをなくし、著名ブロガーをひきいれる等、トラフィックを増やすことに力を注いだ。

◆『アトランティック』ブランドを最大限に活用したセミナー
2006年から、非営利団体のアスペン研究所(Aspen Institute)との共同開催で始められたセミナーは、いまや同社の売上の14%を生みだす規模になっている。昨年、米国内外の芸術、科学、哲学、宗教、実業、経済、政治など様々な分野のリーダーを招いて4日間にわたり開催された “Ideas Festival”は、2,700ドルという高額な参加費にもかかわらず1,200名もの参加者を集めた。

◆情報ソース
At 154, a Digital Milestone (The New York Times)
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