A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 雑誌社の新たなジレンマ

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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雑誌社の新たなジレンマ

米国のメディア・広告業界は2001年以来といわれる不況に突入しつつある。11月5日のエントリーで書いたように、雑誌業界でもレイオフをはじめとする経費削減策に着手する企業が相次いでいる。その標的となっているのは、一時は雑誌社の将来を担うと期待されたオンライン部門だ。

上のエントリーでも書いたが、コンデナスト社(Condé Nast)ではビジネス誌『ポートフォリオ(Portfolio)』のスタッフが、30名からたった5名に縮小された。同誌は今年、およそ2千万ドルの赤字を計上している。ウエブサイトを加えるとその額ははるかに大きくなる。

タイム(Time Inc.)では全社的に進められる600名規模のレイオフの一環として、『フォーチュン(Fortune)』のウエブ・スタッフが社を去ることになり、コンテンツの制作は同サイトの母体であるCNN Moneyのスタッフが引き継ぐことになった。とはいえ、『フォーチュン』オリジナルのコンテンツは大幅に減ることになりそうだ。『フォーブズ(Forbes)』でもForbes AutoやForbes Travelerを担当するウエブ・スタッフの大がかりな削減が行われた。

コンデナスト社のあるパブリッシャーがニューヨーク・オブザーバー(The New York Observer)の取材に答えて「オンライン版のトラフィックを増やしても、それが売上に結びつかなければ意味がない」と述べているとおり、ウエブ・スタッフの削減は目の前の売上を見込める印刷版を優先した結果だ。つまり雑誌本体の延命策でもある。

ところが、広告予算が削減される中、ウエブをはじめとする雑誌社の資産に広告主が大きな期待を寄せていると、『アドバタイジング・エイジ(Advertising Age)』が報じている。

以前、広告主が媒体社をマーケティング・パートナーと見なすようになりつつあるという同紙の記事を紹介したが、マーケティング予算の縮小を補えるようなサービスと資産を有する出版社に対して、広告主は集中して予算を投下するようになるというのだ。

媒体社を対象とするコンサルティング会社、アドバタイザー・パーセプションズ(Advertiser Perceptions)は今年10~11月に、広告主企業のマーケティング担当者と広告会社の役職者1606名を対象に調査を実施した。その結果、「経済情勢が企業のレイオフを加速させ、人員不足に陥った広告主はリソースを外に求めるようになる」と予測している。

広告主が求めているのは、雑誌社が自社の資産を広告主のニーズに合わせてカスタマイズして提供するサービスだ。タイム社のコーポレートセールスおよびマーケティング担当プレジデントのレスリー・ピカード(Leslie Picard)氏は、いまのような時期にこそ雑誌社の資産を組み合わせた統合的なプログラムは広告主の宣伝担当者にとって大きな役割を果たせるはずであり、広告予算が縮小されると、広告主はカスタマイズされたマーケティング・ソリューションを一社で提供できる媒体社を必要とするという。一方、複数の広告主を対象とする総花的なプログラムは歓迎されないだろうと、『アドバタイジング・エイジ』は書いている。

ここで雑誌社にとって問題となるのは、広告主のパートナーとなるために、自社のコストを削減する一方でそのようなサービスを可能にするマーケティング機能をいかに不足なく温存できるかにある。

『ニューヨーク・オブザーバー』によると、印刷版のスタッフとの一体化により、ウエブサイトを存続させようとしている雑誌もある。

『ニューヨーク(New York)』では、ウエブ・スタッフが雑誌の記事づくりを一部、担当することになった。タイム社の『エンターテインメント・ウイークリー(Entertainment Weekly)』では5名がレイオフされたが、記者が編集の仕事まで行うことによりスタッフ不足を補おうとしている。上記の『フォーブズ(Forbes)』でも、来年から雑誌編集部とウエブチームを統合することで穴埋めをしようとしている。

ウエブは雑誌社の資産の一部にすぎない。要は読者とならぶ顧客である広告主の声に耳を傾けて何を求められているのかを見極め、必要とされる資産を温存・強化することだ。言うまでもないが、そのためには資本と人材を投下しなくてはならない。これはとてつもない難題だ。組織の見直しと合理化は避けられないだろう。

◆情報ソース
At Magazines, It's 2.0 Steps Forward, 1.0 Step Back (The New York Observer)
How to Cut Back Just as Marketers Start Asking for More (Advertising Age)
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