A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 コンテンツ有料化は新聞を救うか

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大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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コンテンツ有料化は新聞を救うか

新聞業界に吹き荒れる冬の嵐は収まりそうにない。

先週21日、『ニュー・ヘイヴン・レジスター』(New Haven Register)などを発行するジャーナル・レジスター(Journal Register Co.)が、破産法11条の適用を申請した。23日には、180年の歴史を持つ地方紙『フィラデルフィア・インクワイアラー』(The Philadelphia Inquirer)などを発行するフィラデルフィア・ニュースペーパーズ(Philadelphia Newspapers LLC)も破産法の適用を申請した。

ジャーナル・レジスターの負債総額はおよそ7億ドル。同社は昨年、債務不履行に陥り、コネチカット、ペンシルバニア等で発行していた数多くの週刊新聞を廃刊した。負債の多くは90年~2000年代に、次々とこれらの新聞を買収した際に生まれたものだった。

Philadelphia Inqurer

フィラデルフィア・ニュースペーパーズは、まもなく期限が訪れる負債3億9千万ドルの支払いができなくなった。この負債のほとんどは、現CEOのブライアン・ティアニー(Brian Tierney)氏が2006年に、『インクワイアラー』紙と『フィラデルフィア・デイリー・ニューズ』(The Philadelphia Daily News)をマクラッチー社(McClatchy)から買収した際の借入金5億6千万ドルの一部だ。ティアニー氏によると本業の経営は健全で利益も出しているため、新聞の発行は続けながら経営再建を目指すという。

ハースト(Hearst Corp.)も24日、同社傘下のハースト・ニュースペーパーズ(Hearst Newspapers)が発行する、144年の歴史を持つ『サンフランシスコ・クロニクル』(The San Francisco Chronicle)を、短期間に大がかりな経費節減ができなければ売却か廃刊すると発表した。

新聞社が危機に瀕しているのは米国だけではない。英国でも新聞社の広告売上は昨年、対前年比11.68%の落ち込みを見せた。英国最古のタブロイド紙『デイリー・メール』を発行するデイリー・メール&ジェネラル・トラスト社(Daily Mail & General Trust)の今年1月の広告売上は、全国紙で23%、地方紙で40%も下降した。フランスでも今年1月、サルコジ大統領が18歳になった若者に日刊紙を1年間無料で提供すると発表したが、これは活字メディアの支援策の一環だ。

こうした中、2月18日のエントリーで紹介したタイム誌の記事は大きな反響を呼び、活字メディア(特に新聞)はオンラインで救済できるかをめぐり、当の新聞を中心に多くの意見や提言が寄せられている。アドバタイジング・エイジ(Advertising Age)の記事によると、それらの見解を大別すると、ユーザーはコンテンツ課金を受け入れるというもの(課金肯定派)と受け入れないというもの(課金否定派)に分けられるようだ。

TIME save newspaper

MSNBC.comの社長チャーリー・ティリンガスト(Charlie Tillinghast)氏や、ニューヨーク・デイリー・ニュース(New York Daily News)の発行人でUSニュース&ワールド・リポート(US News & World Report)の編集長でもあるモート・ザッカーマン(Mort Zuckerman)氏は否定派だ。

肯定派は有料サイトの成功例としてウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)やフィナンシャル・タイムズ(the Financial Times)を挙げるが、読者の多くが仕事上の必要から呼んでいるこれらの新聞以外に、有料化に成功している新聞サイトはないに等しい。肯定派はまた、ニュースに対する需要はいま、これまでにないほど高まっていると言う。確かに、米国の新聞サイトのトラフィックは昨年、12%伸びたし、MSNBC.comの今年1月のユニーク・ビジター数は、4,500万に達した。

しかし、需要の高いスポーツ、ビジネス、国内・国際ニュースといったカテゴリーは、どこのサイトでもニュースを掲載しており、有料化するために質の面で差別化するのは至難の業だ。ウォール・ストリート・ジャーナルの編集長、ロバート・トムソン(Robert Thomson)氏は、「グーグルは人々をコンテンツに誘導するが、その質の違いを見分ける役には立たない。しかしコンテンツを有料化するとなると、読者に質の違いを判断してもらわなくてはならない」と述べている。

こうして見ると、コンテンツの有料化は極めて難しいように思えるのだが、先のタイム誌の記事を寄稿した、同誌の元編集主幹ウォルター・イザクソン(Walter Isaacson)氏はどう考えているのだろう。彼のインタビューが、アドバタイジング・エイジに載っていた。その一部を要約する。

Ad Age(以下AA) 本質的な問題は、新聞がかつての独占的な地位を失ったことにあるように思える。新聞と同様のコンテンツを提供するソースがいまのように数多くある時代に、どうしたら課金できると思うか。

Isaacson氏(以下WI) APやロイターで同じようなことを伝えている記事が読めるなら、ワシントン・ポストの記事にお金を払わない人はたくさんいるだろう。しかし、私が言っているのは高額な課金のことではない。数十セントか1ドル程度であれば、ワシントン・ポストの記事やニューヨーク・タイムズの記者イーサン・ブロナーのガザのレポートを読むために、私はまちがいなく支払う。

今回、問題提起をしたのは、新聞社のいまのウエブ広告売上は、おそらくウエブ運営をするにも足らぬほどのものだからだ。広告売上が毎年拡大し続けるなら、こんな議論をする必要はない。

私は、タイム社のサイト(Pathfinder:同社発行雑誌のサイトのネットワーク)構築に携わったものとして、罪悪感をもっているんだ。

AA Pathfinderは、有料化を検討したが、結局しなかった。

WI 当時、ウエブ広告は急激な成長を見せ始めたところだった。だから、人がたくさん集まるサイトを作れば、有料化する必要はないだろうと考えた。そのまま推移していれば、素晴らしいビジネスモデルになっただろう。私はいまでも読者から売上を得ることに意味があると思っているが、それは哲学的な問題だ。

ところで、いまの議論は旧来型のメディアを救うだけでなく、ニューメディアに収益をもたらすためにもなる。単なるエゴからではなく、コミュニティへの貢献を望み、そのためにブログなどで情報を発信しているような人や、あるいはゲームや動画といった知的資産を作り出している人は、その対価を人々が支払えるシステムがあれば励みになるだろう。



引用しなかったが、イザクソン氏は上のインタビューで、自分の記事をきっかけに多くの意見・提言が寄せられたことを大変心強いと語っている。そのとおりで、ひょっとしたらこうした議論の中から新しい技術やビジネスモデルが生まれるかもしれない。アップルをはじめ、いま世の中を動かしている有力企業やビッグブランドの中には、深刻な不況期に生まれたものが数多くあるのだ。

◆情報ソース
Red Ink: Philly Papers, Journal Register File for Bankruptcy (MediaPost)
'San Francisco Chronicle' May Be Sold, Shut Down (Editor & Publisher)
U.K. Magazine Circulation Up, While Papers Struggle (Advertising Age)
Wanted: Online Payment Plan for Print (Advertising Age)
Making the Case for Micropayments in News (Advertising Age)
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