A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 雑誌の枠をはみ出す変り種

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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雑誌の枠をはみ出す変り種

米国で1965年、『アスペン(Aspen)』という雑誌が創刊された。元『アドバタイジング・エイジ(Advertising Age)』編集者のフィリス・ジョンソン(Phyllis Johnson)がスキー・リゾートのアスペンに滞在中に思いついたためにこう名付けられた雑誌だが、「アスペンは読むだけでなく、聞き、壁にかけ、触り、飛ばし、投影し、匂いをかいでください」との宣伝文句のとおり、購読者に送られてくる小箱の中には、ブックレットのほかに、毎号趣向を変えてミニチュアの彫刻から、ポスター、8ミリ・フィルム、レコードなど、様々なものが詰め込まれていた。ジョンソンが「マルチメディア・マガジン」と呼んだこの雑誌は、「ある時期の視点やパーソナリティのタイムカプセル」のような内容で、毎号異なる編集担当者とアートディレクターが作った。年4回刊行の予定で創刊したが、発行の間隔が守られることは稀で、広告は本誌には掲載されず、配送用の小箱の底に印刷されていただけだった。詳しい説明や毎号の内容は、ここで紹介されている。

『ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)』は、この『アスペン』はアートがポップ・カルチャーと生産技術の力で市民権を獲得していった1960年代という時代の落とし子だったが、雑誌は危機に瀕しているいまこそ、定型を突き破って様々な実験に挑むべきだとして、それを実践している変わり種を紹介している。これらを「雑誌」と呼べるかどうかはさておき、発想を柔らかくするトレーニングとして楽しめるのではなかろうか。

T-Post

これは“着る”雑誌である。

T Post magazine outside

6週間ごとに読者に送られてくるのは、紙に印刷された雑誌ではなくTシャツだ。その内側には、読者に何かを考えさせるような、事実に基づいた記事が、表側にはその記事の内容に関連したグラフィックが印刷されている。

T Post magazine inside

2004年2月に、ストックホルムで生まれた。1号あたり26ユーロ(約3,400円)で、最低2号から定期購読できる。購読者の数だけしか印刷されないため、バックナンバーは手に入らない。

www.t-post.se

Visionaire

おそらく世界でもっとも高価な雑誌だろう。1部あたりの製造コストは5,000ドル(約48万円)とのこと。「人々が捨てることのできない、ずっととっておきたいと思わせるようなもののつまった」定期刊行物を目指して1991年、ビジオネール・パブリッシング(Visionaire Publishing)が刊行した。

毎号、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、マリオ・テスティーノ(Mario Testino)、スパイク・ジョーンズ(Spike Jonze)といった第一線のファッション・デザイナーやアーティストなどのコラボにより、めずらしい素材を使い、変わったフォーマットで作られる。最新号は、表紙に白地に鳥のデザインがエンボス加工されており、それを日光に曝すと写真のように色が浮き上がる仕組みになっている。

Visionaire magazine

「マス雑誌のコンテンツは広告にコントロールされている」との理由から、広告はいっさい載せない。そのかわり毎号、ルイ・ヴィトン、クリュッグ、ラコステなどの高級ブランドがスポンサーとなり、ファッション・イベントの会期中に開催されるパーティなどで配布される。年に多くて3回発行、1号あたりの印刷部数は3,000~5,000部で、すべてに通し番号が入っている。4号を675ドル(米国内の値段)で予約購読することもできる。

www.visionaireworld.com

Freestyle

今年7月、ファッション・フォトグラファーのジェイソン・マグレイド(Jason McGlade)が創刊する。紙にインクで印刷されるのはこれまでの雑誌と同じだが、変わっているのは円形でフリスビーの内側に嵌めこまれて流通される点(マグレイド氏はフライング・ディスクの愛好家)。

マグレイド氏が編集長/クリエイティブ・ディレクターを務め、「遊び好きでクリエイティブな人たち」に向けて、アート、デザイン、ファッション、ライフスタイルなどを(もちろんフリスビーも)取り上げる。限定5,000部、一部あたり15ユーロで発売の予定。

www.freestylemagazine.co.uk

La Más Bella

誌名の『ラ・マ・ベラ』は “the most beautiful”の意味。スペインのマドリッドで1993年に創刊された。初めの号こそいわゆる雑誌の体裁をとっていたものの、それ以降はまさしくスペイン的芸術的実験の連続だ。例えば、2003年に発行されたある号は、財布の形態をしており、その中に100人近いアーティストが作った紙幣、IDカード、身分証明写真、切符などがつまっている。

Las Mas Bella wallet


この風変わりな雑誌は毎号、発行人であるPepe MurciegoとDiego Ortizの二人が題材を決め、スペインのアーティストによびかけて仕立て上げていく。これまでにおよそ600名のアーティストが参加した。

年にわずか1~2回の発行で、1号あたり制作数も1,000と少ない。定価はなく、号によって12ユーロから50ユーロまで様々で、アート書店や美術館などで販売されている。

www.lamasbella.org

La Lata

La Lata magazine

これもスペイン生まれ。 “La Lata”(The Canという意味)の名のとおり、8リットル缶入りで、密閉されているために購入しないと中を見ることはできない。中には、毎号設定される異なったテーマに基づき、様々なアーティストのつくったオブジェクトが入っている。例えば、最新号のテーマは “Vice”(悪習)で、その中身は「チョコレートから噛み切った爪にいたるまで」、ありとあらゆるものを表現したピースであるとのこと。1号あたり数百しか作られず、年に1度、マドリッドで開催されるアート・フェアARCOの会場で販売される。

www.lalata.es

◆情報ソース
Reinventing the Magazine (Wall Street Journal)

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