A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 広告主の費用削減要求に音を上げる広告会社

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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広告主の費用削減要求に音を上げる広告会社

クライアント企業は、媒体社にマーケティング・パートナーとしての役割を求める一方で、マーケティング予算の管理に厳しい目を向けている。以前、コカコーラが広告会社への報酬を、広告のパフォーマンスに基づいて決める新制度を導入すると書いたが、プロキュアメント(購買部門)を立てて料金交渉を行うクライアント企業も現れ、音を上げる広告会社も出てきた。

『アドバタイジング・エイジ』(Advertising Age)の伝えるところによると、貨物輸送大手UPSの2億ドル以上のグローバル広告予算をめぐるピッチ(競合プレゼンテーション)から、WPPグループのジェイ・ウォルター・トンプソンが撤退した。同社のボブ・ジェフリー会長・CEOは社内向けのメールで次のように書いた。「UPSは予算と同様に取引上の問題も大きな企業だ。彼らは当社や他の広告会社をパートナーして扱ってしかるべきだが、そのような文化は彼らにはないようだ。我々は競合を勝ち抜くために膨大な時間とエネルギーを費やしてきた。したがって、この(撤退の)決断は簡単なものではなかった。」このジェフリー会長の言葉が、JWTとUPSの間で何が起こったかを如実に語っている。

フォルクスワーゲン・オブ・アメリカは先週、北米担当のクリエイティブ・エージェンシーとしてインターパブリック・グループのDeutschを指名したが、その数週間前に、同社ほかコンペに参加する広告会社を本社に呼び寄せ、予算や報酬に関する交渉を行った。会議室からげんなりした顔で出てきた、ある広告会社のAEは、次に部屋に入ろうとする競合先のチームに “Don’t cave”(負けるなよ)と囁いたという。フォルクスワーゲンの購買部門の締め付けがいかに厳しいものだったか、想像がつくだろう。

ミネラルウォーターの「エビアン」やヨーグルトで知られる食品大手のダノン・グループは、世界およそ20の市場における広告の見直しを進めている。その取り扱いを巡って、少なくとも3社の広告会社が4カ月近くの間、ピッチを行ってきたが、当初ダノンから提示された提案指示書(request for proposal)は、費用(あるいは費用対効果)に関する質問で埋め尽くされていたという。いわく「予算に関していかに柔軟に対応できるか(つまりどれだけ値引きを行えるか)詳細に示してください」「CPMの改善策を示してください」「ネットGRPの改善策を示してください」等々。ある広告会社のAEは「ダノンの関心は費用だけだ。彼らはメディアを調達資材なみにしか考えていない」ともらしている。このコンペの結果、北米のプラニング/バイイング(1億ドル)の扱いはアバス社(Havas)のMPG、英国(4000万ドル)はWPPグループのメディアエッジ:CIA、中国(1億5000万ドル)の扱いはオムニコム・グループのOMDが獲得する見通しだという。

世界的な不況の中で、企業が費用削減やコスト効率の向上に血眼になる事情はわかる。しかし、そのための努力を一方的に広告会社や、ひいては媒体社に求める風潮には釈然としないものを感じる。広告会社や媒体社が一度受け入れた条件は、景気が良くなったからといって元に戻してもらえる保証はどこにもないのだ。日本でも雑誌広告の効果測定を求めるクライアント企業の声に押されて、電通の音頭で携帯電話を使った調査が行われているが、その費用はすべて電通が負担するらしい(調査への協力を読者に呼びかける広告のスペースは出版社が無料提供)。本来であれば、こうした努力は媒体社と広告主の双方の負担で行うべきものだと思うのだがいかがだろうか。

◆情報ソース
JWT Pulls Out of UPS Review
Volkswagen Hands U.S. Advertising Account to Deutsch, Los Angeles
Havas' MPG to Hold on to $100 Million North-American Danone Media Account
Fed-Up Shops Pitch a Fit at Procurement
(以上、すべてAdvertising Age)

追記(2009年10月30日)

UPSの扱いはWPPグループのオグルヴィ・アンド・メイザー(Ogilvy & Mather)が獲得した。エージェンシー・ピッチには他に、同じWPPグループのヤング・アンド・ルビカム(Young & Rubicam)とアバス社のEuroRSCGが参加していた。現在、UPSの担当広告会社であるインターパブリック・グループ(Interpublic Group of Cos)のMarting Agency(米国内)と、国外市場を担当しているマッキャン・エリクソン(McCann-Erickson)、ユニバーサル・マッキャン(Universal McCann)およびMRMとの取引は、2010年初めに終了する。

◆情報ソース
UPS Taps Ogilvy to Handle Global Ad Account (Advertising Age)
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