A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 今年は雑誌からデジタルへの分岐点なのか

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大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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今年は雑誌からデジタルへの分岐点なのか

先週、6月19日のエントリーで、2つの出版社アシェット・フィリパッキ・メディア(Hachette Filipacchi Medias)U.S.とハースト社(Hearst Corp.)のトップ退任を伝えたが、その背景には印刷媒体からデジタルへの本格的な戦略転換があるのではないかと、MediaPostが伝えている。

まずアシェットだが、ホールディング・カンパニーのラガルデール(Lagardere)はデジタル分野の売上げ拡大を今年の戦略上の最優先課題に掲げており、来年までに総売上に占めるインターネット事業のシェア目標を10%と設定しているという。新CEOとなるAlain Lemarchand氏は、このミッションを実現するためにラガルデール本社から送り込まれるのだという見立てだ。

この戦略に沿った動きはすでにはじまっていたのかもしれない。当ブログ5月13日のエントリーでは、アシェットのデジタル部門で大がかりな再編が行われ、トップ(担当バイス・プレジデント)の交代に伴って15名のスタッフが同社を去ったとお伝えしたが、これもインターネット事業の成長率に経営サイドが満足しなかった結果らしい。この再編で新デジタル・メディア担当バイス・プレジデントとしてアシェットに迎え入れられたTodd Anderman氏は先週、同社最大のウエブサイトWoman’s Dayを皮切りにすべてのサイトを年内に一新すると発表した。

どのように一新するのかは明らかにされていないが、Anderman氏は雑誌(プリント版)の編集スタッフがウエブサイトのコンテンツづくりにも深くかかわるようになり、デジタル部門のスタッフは技術、製品開発、マーケティングに専念していくと述べている。同社ではすでに、この方針に沿って、上記の15名に代わって11名の新スタッフを採用している。

アシェットはラガルデールの傘下になった直後の2001年にもデジタル化の方針を鮮明にし、世界的に女性誌ELLEのウエブサイトをはじめとして大がかりなてこ入れを行ったが、はかばかしい結果を得ることができなかった。同社にとってフランスに次ぐ世界第2の市場である米国で、ラガルデールの直接統治が進行している背景には、こうした事情があるのかもしれない。

ハースト社でも今年初め、デジタルへの本格的転換を予感させるような出来事があった。2月に、雑誌系ウエブサイトの広告・マーケティングの責任者だったPamela Raley氏が入社後わずか1年で退任させられ、ティーン誌CosmoGirlの創刊編集長であり同誌のデジタル化を推進したKristine Welker氏が後任となったのだ。ハースト社のCEO、Victor Ganzi氏の突然の退任発表も、この転換が原因なのではないかとMediaPostは推測している。

コンデナスト・インタラクティブ(Condé Nast Interactive)でも今年2月、広告営業担当バイス・プレジデントの交代劇があった。さらに先週、CondeNetのクリエイティブ・ディレクターを2003年から務め、Men.style.comの立ち上げでも中心的な役割を果たしたMark Jarecke氏が、理由を明らかにしないまま退任した。

これら一連の動きは、MediaPostが推測するように雑誌社が紙からデジタルへ本格的に舵を切ったことの現われなのではなく、どうも雑誌社がデジタル以外に活路を見いだせずにいて、しかもその頼みの綱のデジタルで思うように売上げを伸ばせないことへのあせりがあるのではないかと思われる。

同じMediaPostの記事が紹介しているように、監査・コンサルティング会社プライスウォーターハウス・クーパーズ(PricewaterhouseCoopers)は、雑誌社のインターネット事業の売上が今年、前年比63%増の3億4,200万ドルに達すると予測しているが、これはインターネット広告市場全体の4%にしか過ぎない。しかも、インターネット広告市場の41%は検索型広告によるもので、そのうち、ソースによってばらつきはあるが68%~76%はグーグルの売上である。IAB(Interactive Advertising Bureau)の統計によると、今年第1四半期(1~3月)のインターネット広告売上は昨年同期比18.2%増の58億ドルに達したが、検索型とその他の広告の差は広がっており、このうちディスプレイ広告の売り上げは20億ドルにとどまった。

加えて、ここにきてインターネット広告の成長率に鈍化の傾向が見える。インターネット広告の売上は13四半期連続で直前の四半期を上回ってきたのだが、今回初めて下回る結果になった。昨年第4四半期(10~12月)のインターネット広告売上は59億ドルで、上記の数値よりも多かった。もちろん、毎年第4四半期はクリスマスシーズンということもあって広告量が増えるのだが、昨年は第1四半期にその前年の第4四半期よりも多くの予算がインターネット広告に投じられたのだ。(※以上はすべて米国内の数値)

上記の結果については、景気の影響があるので軽々には断定できないが、ネットへの過度な、あるいは安易な依存・シフトは危険である。

◆情報ソース
Mag Turnover Points to Digital Future (MediaPost)
Hachette to Relaunch All Titles' Sites by Year End (Mediaweek)
IAB Ad Revenue Report Shows Mixed Trends (ClickZ)
アシェットがデジタル部門を再編?
アシェットとハーストの経営トップが退任



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