ところで、このPIBの広告売上データは、出版社のレート・カード(広告料金表)に記載されているディスカウントなしの正価をもとに算出されている。各社とも実際には料金の割引を行っているし、特にいまのような景気後退期には、ディスカウント率がさらに大きくなるはずだ。つまり、PIB発表の数値はかなり水増しされたものだと、MediaPostが指摘している。
どの程度水増しされた数字になっているか、知りたいところだが、ほとんどの出版社は売上を公表していない。上場企業は証券取引員会に収益報告を含む書類を提出することになっているが、実際にそれを行っている出版社は数えるほどしかないそうだ。また、コンデナスト(Conde Nast)、ハースト(Hearst)といった大手出版社は個人所有であるために、そのような書類を入手するすべもない。
MediaPostは、売上を公表しているわずかな出版社の今年1-6月期のPIBデータと、実際の売上金額を比較してディスカウント率を割り出す試みをしている。
それによると、タイム・ワーナー(Time Warner)の今年上半期の雑誌広告売上はおよそ12億ドルで、うち9%(1億ドル)はオンライン広告によるものだから、純粋な雑誌広告売上は11億ドルということになる。一方、PIB発表の同社の広告売上は21億4千万ドルとなっているから、同社の雑誌は合算すると50%近いディスカウントを行っていることになる。
同様に、『Better Homes and Gardens』などおよそ20以上の雑誌を発行するメレディス社(Meredith)の場合、報告書上の雑誌広告売上は3億800万ドル、PIB発表の数値は11億6千万ドルとなっているから、ディスカウント率は約75%ということになる。マーサ・スチュアート・リビング社(Martha Stewart Living)は、報告書上の雑誌広告売上は8,500万ドルでPIB発表の数値は1億4,240万ドルとなっているから、ディスカウント率はおよそ40%だ。
驚くほどの差だが、ではPIBのデータは信頼性に欠け使えないかというとそんなこともない。広告ページ数はPIBが実際にカウントしたものであるし(中にはフリーの広告もあるだろうが)、雑誌ごと、カテゴリーごとの広告売上の推移を時系列で見て好不調のトレンドを判断する上では十分に役に立つからだ。
◆情報ソース
Magazine Ad Revenues Down (MediaPost)
How Inflated Are PIB Revenue Figures? A Lot (MediaPost)




