A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 プリント・メディアの衰退を悼む

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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プリント・メディアの衰退を悼む

昨日のエントリーで、米国の新聞はいまのまま存続できるのか、と書いたが、前後してその心配が実現したかのようなニュースが飛び込んできた。

100年の歴史を誇る新聞『クリスチャン・サイエンス・モニター(Christian Science Monitor)』が28日、来年4月から日刊紙の発行を停止し、オンラインのみに切り換えると発表した。同紙は米国のジャーナリズムでも異色の存在だ。非営利組織クリスチャン・サイエンス・チャーチによって発行され、郵便で配達されている。記事のクオリティに対する評価は高く、ピューリッツァー賞を通算7回、受賞している。その収入源の多くは予約購読で、広告依存型ではなかった。にもかかわらず、同誌の発行部数は最盛期の1970年には22万部だったが、それが最近では52,000部程度まで落ち込んでいた。

同紙は現在、月曜から金曜までのウイークデイのみ発行しているが、オンラインへ移行後はウイークエンド紙の発行を開始し、8つの海外支局はいまのまま維持するという。同紙のウエブサイトは、すでに約70万のユニーク・ビジターを集め、月間ページビューは500万に達しているというが、他紙同様、オンラインで収益の落ち込みをカバーできるかは疑問だ。

この発表の前日にはトリビューン社(Tribune Company)が、『ロサンゼルス・タイムズ(The Los Angeles Times)』の編集スタッフを75名、削減すると発表した。同紙の編集スタッフは、7年前のおよそ半分の規模にまで縮小されることになる。

ニュー・ジャージー州最大、全米15番目の規模の新聞『スター・レジャー(The Star-Ledger)』も、編集スタッフの40%を削減する。『USAトゥデイ(USA Today)』など85紙を発行する米国最大の新聞社ガネット(Gannett Co.,)も先週、第3四半期の純利益が32%下落したとの発表をしたばかりだが、広告売上の不振が当分続くと見込まれるため、従業員数を10%削減する計画を明らかにした。

暗いニュースが続いているのは、新聞業界ばかりではない。同じ印刷媒体の雑誌業界では、『タイム(TIME)』、『フォーチュン(Fortune)』などを発行するタイム社(Time Inc.)が、金融危機後の不況に備えて300~600名のレイオフを実施すると発表した。同社は同時に、現在発行している24の雑誌を「News」、「Style and Entertainment」、「Lifestyle」の3つのビジネス・ユニットに再編するなど、中央集権的な管理態勢へのリストラも進めている。

今月初めには、ハースト社(Hearst Corporation)が、ティーン誌の『コスモガール(CosmoGirl)』を休刊し、ウエブサイトのみを存続させると発表した。2週間ほど前には、マクロビジョン社(Macrovision)が『TVガイド(TV Guide)』を、プライベート・エクイティ・ファンドのオープンゲイト・キャピタル(OpenGate Capital)に1ドル(!)で売却した。(同時にマクロビジョン社は、最大950万ドルの資金を3%の低利でオープンゲイト・キャピタルから調達できることになった。)

こうした印刷媒体の不調を取り上げ、『ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)』のデビッド・カー記者(David Carr)が “Mourning Old Media’s Decline”(旧来型メディアの衰退を悼む)との見出しの記事を書いている。

カー記者は、新聞と雑誌共通の問題は、読者(audience)ではなく顧客(customer)を失っていることにあると書き、「自動車業界と印刷媒体業界の問題は本質的に同じで、古い顧客は古い製品を好み、新しい顧客は新しい製品を好むということだ」という、クレイ・シャーキー氏(Clay Shirky “Here Comes Everybody”の著者)の言葉を紹介している。読者にとっても、そして編集者にとっても、もはや紙でもウエブでも違いはないというのだ。

では、質の高いジャーナリズムを支える編集者をどのように養うのかというと、カー記者も答を見いだせてはいない。彼はただ、最近開かれたアメリカン・マガジン・カンファレンスで講演を行った、GoogleのCEO、エリック・シュミット氏(Eric Schmidt)のこんなコメントを紹介して記事を結んでいる。

「読者が信頼するに足る、ジャーナリズムの有力ブランドが消滅するようなことになったら、ウエブは瞬く間に価値のない情報だらけの“汚水だめ”になってしまう。」

◆情報ソース
Christian Science Paper to End Daily Print Edition (The New York Times)
Christian Science Monitor Folds 100-Year-Old Print Edition (MediaPost)
Gannett to Cut 10% of Jobs at Community Newspapers (Boomberg.com)
Hearst to Close CosmoGirl Magazine (The New York Times)
TV Guide Sold for a Buck (Advertising Age)
Time Inc. to Cut Hundreds More From Staff (Advertising Age)
Mourning Old Media’s Decline (The New York Times)



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