A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情 メディア企業の新たな役割

A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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メディア企業の新たな役割

アドバタイジング・エイジ(Advertising Age)の記事によると、今月初旬、プロクター&ギャンブル(Procter & Gamble Co.)がシンシナティで開催した「サプライヤー・サミット」では、多くのサプライヤーに加えて40のメディア企業が招かれていた。このサミットで、同社の最高経営責任者、A.G. ラフレイ(Lafley)氏はメディア企業を含む参加者に、「アイデアをください。採用のあかつきには、お返しをしますから」と呼びかけたという。

同社がサプライヤーだけでなくメディア企業をも、新製品開発やそれらの製品を市場に送り出すためのアイデアを求めるパートナーと位置づけたことは驚くべきことではない。すでに、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)、キンバリークラーク(Kimberly-Clark)、クロロックス(Clorox Co.)、ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)、ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)などの企業は、メディア企業を、消費者への単なる橋渡し役でなく、消費者に到達するための計画を共に開発するパートナーと位置付けて様々な試みを行っている。たとえばキンバリークラークは2年以上前、担当エージェンシーであるマインドシェアとメディア企業を一堂に会し、Vivaブランドのペーパータオルの販促案を話し合った。

去る10月、オーランド(フロリダ州)で開催された全米広告主協会(Association of National Advertisers: ANA)の年次総会では、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)によるラウンドテーブル・ミーティングの席上、エージェンシーに対する不満の声が出され、メディア企業を、エージェンシーと並ぶ―あるいはエージェンシーに優先する―戦略的パートナーと位置づける考え方に話題が集まった。

アドバタイジング・エイジの取材に対して、ヒューレット・パッカードのマーケティング担当バイス・プレジデント、ゲイリー・エリオット(Gary Elliott)氏は、「広告主はメディア企業をマーケターと同じように位置づけ、彼らが何をする必要があり、どんなサービスを提供すべきか、どのように効果的に提供できるかを明らかにするべきだ」と語り、ベリゾン・コミュニケーションズのマーケティングおよびデジタルメディア担当バイス・プレジデントのジョン・ハロビン(John Harrobin)氏は、「そのような関係づくりは広告主企業にとって、例外的なことではなく当たり前のことになりつつある」と述べている。

メディア企業がメディア・エージェンシーやクリエイティブ・エージェンシーなどに取って替わる存在になりえるかどうかの議論はさておき、ビジネス系サイトJackMyers.comを主宰するジャック・マイヤーズ(Jack Myers)氏は、こうした広告主側からの要請からさらに一歩踏み込んで、メディア企業は広告依存型のビジネス・モデルを脱皮すべきだと提言している。

マイヤーズ氏の提言の要旨は、以下のとおり。 

■ メディア企業は歴史的に、広告主や広告会社からマーケティング・パートナーとしては見られず、特定のオーディエンスにできるかぎり安価にメッセージを送り届けるために設計された商品として認識されてきた。また、メディア企業の営業担当たちは、クライアントのマーケティング上のニーズを満たすための、新しくクリエイティブな手段を開発する必要に迫られることがなかった。今後従来型のメディア企業が生き残っていくには、このパラダイムを転換し、現在の広告中毒状態から脱するべきだ。

■ そのためにメディア企業は、いまの事業を見直し、ブランド拡張性のある資産や潜在的な成長力のある資産に力を注ぎ、他との差別化が困難で市場の需給変動に左右されるような資産は切り捨てるべきだ。例えばテレビ局は、自社の番組に長期的なブランド力があるかを、視聴率ではなく新たな売上を生み出す可能性があるかどうかの視点から見直すべきだ。雑誌、新聞、ラジオも同様に、人材も含めた資産の見直しを行うべきである。

■ 見直しを行う際には、それぞれの資産が、イベント、セールス・プロモーション、データベース・マーケティング、コーズ・リレイテッド・マーケティング、ロング・テール型販売など、“below-the-line”の(マスメディア以外の)マーケティング・コミュニケーション予算を原資とする売上獲得に結び付くかを判断基準にする。(広告主のマーケティング予算の70~75%は、“below-the-line”のマーケティング・コミュニケーションのためのものである。)

■ すでに無駄のないところをさらに削ったり、ビジネス・モデルをいかに再構築するかの戦略的なビジョンなしにレイオフを進めてはならない。また、ブーズ・アンド・カンパニー(Booz & Co.)、マッキンゼー(McKinsey)、ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)などの伝統的なコンサルティング企業は、昔ながらのハーバード・ビジネス・レビュー的なケーススタディにとらわれ、メディア業界の現状については時代遅れの認識しかもっていないといってよい。したがって、顧客となるメディア企業に脱旧来型のビジョンを提供することはできない。

『ハフィングトン・ポスト』(The Huffington Post)に投稿されたこの記事は、どうもマイヤーズ氏のビジネスのPR的な色彩が濃く、具体性に乏しいのでどうかと思うが、広告主からマーケティング・パートナーとして機能してほしいという期待が寄せられているのは事実なので、ここで言われている新しいビジネス・モデルの構築を研究する価値はあるはずだ。ただし、広告主がメディアを評価するのは、消費者(読者や視聴者)と良好な関係を築いているからだということを忘れてはならない。

◆情報ソース
The Newest Ad Agencies: Major Media Companies (Advertising Age)
Media's Advertising Addiction Leaves Billions on the Table (The Huffington Post)

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