A BUG IN YOUR EAR アメリカの広告・メディア事情

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大きな変革期にあるメディア業界、広告業界のこれからを考えるヒントになりそうな、アメリカの業界動向を紹介します。

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『コスモポリタン』誌デジタル版の定期購読者数が10万人を突破

米ハースト・マガジン(Hearst Magazine)発行の月刊女性誌『コスモポリタン』(Cosmopolitan)の有料予約購読者数が10万人に到達したと、『アドバタイジング・エイジ』(Advertising Age)が伝えている。

Cosmopolitan cover

同誌は2005年に、デジタル書店のZinioでデジタル版の販売を開始したが、部数(とデジタル版でもいうのだろうか?)が急伸したのはiPad、Nook、Kindle Fireなどのタブレット端末が市場に出回り始めてからだ。

ハーストは、デジタル版の販売戦略で他社と一線を画している。コンデナスト(Condé Nast)の『ワイアード』(Wired)やタイム(Time Inc.)の『ピープル』(People)の場合、プリント版の定期購読者はデジタル版を無料で読むことができる。タイムの雑誌はiPad版だけを購読することすらできない。一方、ハーストはプリント版とデジタル版の販売を切り離しており、一方を他方の特典とするようなことはしていない。それどころか、『コスモポリタン』の年間購読料は、プリント版が15ドル(1ドル=82円として1,230円!)であるのに対し、デジタル版はiPadとZinioが19.99ドル(約1,640円)と、こちらの方が高い。

とはいっても、単号の価格はデジタル版が1.99ドル、プリント版(店頭価格)が3.99ドルで、『コスモポリタン』は米国の雑誌には珍しく店頭販売部数の比率が高く、総販売部数(300万部)のほぼ半分を占めているから、販売収入に占める割合はプリント版の方が格段に大きい。

それでも、デジタル版の年間購読者が10万に達したというのは、大きな節目だろう。同誌の編集部では、先に紹介した『アトランティック』と同様、プリント版とデジタル版のスタッフの融合が急ピッチで進んでいるそうだ。

◆情報ソース
Cosmopolitan Says It Has 100,000 Paid Digital Subscriptions (Advertising Age)

雑誌なのか、カタログなのか

ハースト・マガジン(Hearst Magazines)は、Amazonのタブレット端末「キンドル・ファイア」(Kindle Fire)用に発行する雑誌の編集ページからAmazonのウエブサイトにリンクを張り、掲載商品を購入できるようにする。読者が商品を購入するとハーストは売上に応じた報酬を得ることできるようだが、その割合は非公表となっている。

同社はウエブサイト上ではすでに、同様の試みを行っている。例えば、インテリア雑誌『グッド・ハウスキーピング』のウエブサイト、Goodhousekeeping.comでは、製品レビューのページに掲載された品物をAmazonで購入できるようにしている。

しかし、このニュースを紹介する記事の冒頭で、Adweekは「雑誌なのか、カタログなのか」と疑問を呈している。広告主の製品を記事上で紹介し、さらにそれが即座に購入できるとなると、記事がヤラセ(何らかの報酬が伴っている)ではないかと、読者に疑われる危険性があるというのだ。

米国の雑誌では、編集と広告の間に一線を画すために、日本よりも厳しいルールが適用されてきた。例えば、アドバトリアル(Advertorial: 記事形式の広告)のページには、広告である旨を明示しなくてはならず、編集ページと同じレイアウトや活字は採用できないことになっている。日本でいうタイアップのようなページは存在しない。

一方で、誌面で紹介されている製品を1クリックで購入できると便利だと考えている読者がいることも確かなようだ。フォレスター・リサーチ社(Forrester Research)の調べによると、タブレット端末の所有者のうち60%は、端末をオンライン・ショッピングに使ったことがある。また、GfK MRIの調べによると、タブレット端末所有者の70%は、デジタル・マガジンに掲載されている広告をクリックするだけで買い物ができると良いと思っているとのこと。

ハースト・マガジンズのゼネラル・マネジャー、ジョン・ラフリン氏(John Laughlin)はAdweekの取材に対して、購入対象製品は編集部が独自に紹介する製品を選んだ後に追加するから編集への介入にはならない、と答えているが、実際にはそう簡単ではないだろう。

多くの雑誌が販売と広告の低迷に苦しむ中、出版社は新たな収入源を開拓する必要に迫られている。通販事業は確かに雑誌の資源を活かしやすい。しかし、そこに足を踏み入れれば、今度は通販事業者との競争にさらされることになる。そのときに「カタログ」との違いを保ち続けることができるだろうか。

◆情報ソース
Hearst to Link Digital Editions With Amazon (Adweek)
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